パーキンソン病で寝返りができないのはなぜ?原因・訓練・介助方法を理学療法士が解説

パーキンソン病の方のなかには、「夜中に寝返りができない」「身体が固まったように動かない」「毎晩、家族に向きを変えてもらっている」と悩む方がいます。
パーキンソン病で寝返りが難しくなる背景には、動作の遅さや筋肉のこわばり、体幹のひねりにくさ、夜間のオフ症状など、複数の原因があります。また、マットレスや掛け布団などの寝具が動きを妨げている場合もあります。
この記事では、パーキンソン病で寝返りができない原因、自宅でできる寝返り訓練、寝具の工夫、ご家族による介助方法について、理学療法士の視点から分かりやすく解説します。
パーキンソン病で寝返りができなくなる7つの原因

パーキンソン病の寝返り困難には、身体の症状だけでなく、服薬の効き方や寝具環境も関係します。
動作緩慢や無動によって動き始めにくい
動作緩慢とは、動きが遅く、小さくなる症状です。寝返ろうと思っても最初の動作を始めにくく、顔を向ける、腕を伸ばす、脚を倒すといった一連の動きをつなげられないことがあります。
NEW筋固縮によって首・肩・体幹がこわばる
筋固縮によって首や肩、背中の筋肉がこわばると、身体を横へ向けにくくなります。腰や背中だけでなく、肩や股関節の動きが小さくなることも、寝返りが難しくなる原因です。

体幹をひねる動きが小さくなる
寝返りには、骨盤と肩を順番に回す動きが必要です。
パーキンソン病では体幹のひねりが小さくなり、身体全体を一つのかたまりのように動かすことがあります。そのため、身体を横向きにするまでに時間がかかります。
身体を横へ移す重心移動が難しくなる
腕を伸ばす、脚を倒す、骨盤を回すといった動きを組み合わせることで、身体の重さを横へ移します。これらの動きが小さい、または順番につながらないと、仰向けの姿勢から身体を横へ動かせません。
理学療法では、寝返り全体を見るだけでなく、どの動作で止まっているかを確認します。
夜間や早朝のオフ症状で動きにくくなる
夜間や早朝に薬の効果が弱まると、動作緩慢や筋固縮が強くなり、日中より寝返りが難しくなる場合があります。夜間に身体の向きを変えにくい状態は、夜間無動や夜間寡動と呼ばれることもあります。
腰痛や肩の痛み、関節の硬さが影響する
腰痛や肩の痛み、股関節の硬さがあると、痛みを避けるために寝返り動作が小さくなります。転倒後から痛みが出た、急に寝返りができなくなった場合は、訓練よりも医療機関への相談を優先してください。
マットレスや掛け布団など寝具が動きを妨げる
柔らかすぎるマットレス、重い掛け布団、摩擦の大きい寝間着やシーツは、寝返りを難しくすることがあります。本人の身体機能だけでなく、寝具やベッドの環境も一緒に確認することが大切です。
特に柔らかすぎるマットにおいては、寝返りだけでなく起き上がりなども行いにくくなるため、身体状況に合ったマットレスを選ぶことが大切です。
寝返りができないことで起こりやすい問題
パーキンソン病で寝返りが難しくなると、夜間の動作だけでなく、痛みや睡眠、ご家族の生活にも影響することがあります。
腰や肩など同じ場所に負担がかかる
長時間同じ姿勢が続くと、下になっている肩、腰、お尻などに圧力が集中します。そのため、朝起きたときに痛みやこわばりを感じることがあります。皮膚が弱い方や介助量が多い方では、皮膚の赤みが続いていないかも確認しましょう。
夜中に目が覚めて睡眠が浅くなる
寝返りをしようとしても動けない、痛みで目が覚める、家族を呼ぶといったことが繰り返されると、睡眠が途切れやすくなります。睡眠が浅くなると、日中の眠気や疲労にもつながります。
起き上がりやベッドからの移動も難しくなる
寝返りは、ベッドから起き上がるための最初の動作でもあります。横向きになれないと、腕で身体を起こす、脚をベッドの外へ下ろすといった動作も難しくなります。
理学療法では、寝返りだけでなく、起き上がりや立ち上がりまでを続けて確認します。
家族の夜間介助が増える
本人だけで寝返りができないと、ご家族が夜中に起きて身体の向きを変える必要があります。これが続くと、介助する方の睡眠不足や腰痛にもつながります。
夜間介助が増えた場合は、本人の寝返り訓練だけでなく、寝具、手すり、服薬状況、介助方法を専門職と一緒に見直しましょう。
寝返り動作のどこで止まっているか確認しよう
「寝返りができない」といっても、難しい部分は人によって異なります。次の順番で確認すると、どの動作を練習すべきか考えやすくなります。
寝返る方向へ顔を向けられるか
まず、寝返る方向を目で見て、顔を向けられるか確認します。視線と頭の動きは、その後の肩や体幹を回すきっかけになります。
腕を寝返る方向へ伸ばせるか
反対側の腕を、寝返る方向へ大きく伸ばせるか確認します。腕の動きが小さい、肩が痛い場合は、上半身を回すきっかけを作りにくくなります。
片膝を立てられるか
片膝を立てて足裏をベッドにつけられるか確認します。脚を伸ばしたままでは、足でベッドを押す力を利用しにくくなります。
脚を横へ倒して骨盤を回せるか
立てた膝を寝返る方向へ倒し、骨盤を横へ向けます。脚だけが動き、骨盤が仰向けのまま残る場合は、体幹や股関節の硬さが関係している可能性があります。
肩と上半身を横向きにできるか
骨盤が回った後、腕と肩を使って上半身を横へ向けます。肩と骨盤を一度に動かそうとするより、順番に動かした方が寝返りやすい場合があります。
横向きになった後に姿勢を整えられるか
横向きになれても、腕が身体の下に残る、脚の位置を直せない場合があります。最後に、肩、腕、脚を楽な位置へ整えられるかも確認しましょう。
この確認は自己診断ではなく、医師や理学療法士へ「どこで動けないか」を伝えるために活用してください。
自宅でできるパーキンソン病の寝返り訓練
寝返り訓練は、身体が動きやすい時間帯に、痛みやふらつきがない状態で行います。転落を防ぐため、ベッドの端から十分に離れて練習してください。
必ずしもこの順番で行う必要はありません。あくまでも指標であり、一番は自分にとってどの順番で動かすと動きやすいのかを発見できると、日常的に楽に寝返りが行えるようになります。

寝返る方向を見て腕を大きく伸ばす
仰向けになり、寝返る方向を見ます。反対側の腕を天井から横方向へ大きく伸ばし、肩と胸が回るきっかけを作ります。
片膝を立てて足裏でベッドを押す
寝返る方向と反対側の膝を立て、足裏をベッドにつけます。足で軽くベッドを押すと、骨盤を回す力を利用しやすくなります。
両脚を寝返る方向へゆっくり倒す
立てた膝を寝返る方向へゆっくり倒します。勢いをつけず、腰や股関節に痛みが出ない範囲で行いましょう。
骨盤から先に横へ回す
脚の動きに合わせて骨盤を横へ向けます。腰だけを強くひねらず、脚、骨盤、胸の順に身体を動かすことがポイントです。骨盤はとても重い部位なので、骨盤を横に向けられると、それに連動して他の部位も動かしやすくなります。
肩と上半身を後からついていかせる
骨盤が回った後、伸ばした腕を目で追いながら、肩と上半身を横へ向けます。身体全体を一度に回そうとせず、部分ごとに順番に動かします。
声に出して動作の順番を確認する
「見る、伸ばす、膝を立てる、脚を倒す、横を向く」と声に出すと、動作を始めたり順番につなげたりしやすくなる場合があります。
痛みが強くなる、足や腕にしびれが出る、息苦しさやめまいがある場合は訓練を中止してください。また、ベッドから落ちる不安がある方は、一人で練習せず、理学療法士へ相談しましょう。
寝返りが難しい症状に合わせた動作の工夫
パーキンソン病の寝返りでは、動きにくい部分や痛みの場所によって、適した方法が異なります。無理に一つの動きで回ろうとせず、動作を小さく分けることが大切です。
動き始めにくいときは「1・2・3」と声を出す
「1で顔を向ける、2で腕を伸ばす、3で脚を倒す」のように、声やリズムを動作の合図にします。外からの合図を使う方法は、パーキンソン病の動きを始めるきっかけとして理学療法で活用されます。
脚を動かしにくいときは先に膝を立てる
脚を伸ばしたまま横へ動かすより、片膝を立てて足裏をベッドにつける方が、ベッドを押す力を利用しやすくなります。両膝を立て、左右へ小さく倒してから寝返る方法もあります。
体幹をひねりにくいときは視線と腕を先に動かす
寝返る方向を見て、反対側の腕を横へ伸ばします。視線、頭、腕を先に動かすと、肩や胸、骨盤が後からついていくきっかけを作れます。
腰が痛いときは身体を一気にひねらない
腰だけを勢いよくひねらず、脚、骨盤、肩の順に少しずつ回します。転倒後から腰が痛い、足のしびれや力の入りにくさがある場合は、寝返り訓練を中止して医療機関へ相談してください。
肩が痛いときは腕を無理に伸ばさない
腕を頭の上まで伸ばす必要はありません。肘を曲げたまま胸の前から動かすなど、痛みが出ない位置へ調整します。家族が介助するときも、痛む腕を強く引っ張らないようにしましょう。
夜間のオフ時は無理に大きく動こうとしない
夜間や早朝は薬の効果が弱まり、寝返りが難しくなることがあります。小さな動作に分け、必要なときは家族へ助けを求めましょう。
症状が続く場合は、寝返りが難しい時間と服薬時刻を記録して主治医へ相談し、薬を自己判断で追加・変更しないでください。
寝返りしやすくするベッドと寝具の工夫

パーキンソン病の寝返りは、筋力や身体のこわばりだけでなく、マットレスの沈み込みや寝具との摩擦にも左右されます。身体に合う環境へ調整すると、夜間の寝返りや起き上がりが楽になる場合があります。
柔らかすぎて身体が沈むマットレスを見直す
身体が深く沈むマットレスでは、腕や脚で押しても力が逃げやすく、寝返りにくくなります。硬ければよいわけではありませんが、身体を支えながら動きやすい、適度な反発のあるマットレスが適しています。
重すぎる掛け布団を避ける
重い掛け布団は、脚を倒す動きや腕を伸ばす動作を妨げます。軽く、身体に絡みにくい寝具を選び、足元に布団がたまらないよう整えましょう。
滑りにくすぎる寝間着やシーツに注意する
起毛素材など摩擦の大きい寝間着やシーツは、身体が引っかかり、寝返りを妨げることがあります。滑りやすい素材を部分的に利用する方法もありますが、ベッドからの転落には注意が必要です。
ベッドの高さを起き上がりやすい位置に調整する
ベッドの端に座ったときに足裏が床につき、安定して立ち上がれる高さが目安です。低すぎると立ち上がりにくく、高すぎると足が床に届かず、転落につながる可能性があります。
ベッド柵や手すりの位置を確認する
手すりは、寝返りや起き上がりの支えになります。ただし、身体と柵の間に挟まる事故もあるため、マットレスとの隙間、設置の緩み、本人が握れる位置を確認してください。
設置する際は、理学療法士、作業療法士、福祉用具専門相談員などへ相談すると安心です。
布団よりベッドが適する場合もある
床に敷いた布団は、立ち座りの負担が大きく、夜間の移動も難しくなることがあります。寝返りだけでなく、起き上がりや立ち上がりも難しい方では、高さを調整できるベッドが適する場合があります。
家族が寝返りを介助するときの方法
寝返り介助では、ご家族が身体を力任せに動かすのではなく、本人が動き始めるきっかけを作り、足りない部分だけを支えることが大切です。
本人が動く方向を声かけで伝える
「右を見ましょう」「右手を伸ばしましょう」のように、短い言葉で一つずつ伝えます。一度に多くの指示を出すより、動作の順番を区切る方が理解しやすくなります。
本人ができる部分は自分で動いてもらう
顔を向ける、腕を伸ばす、膝を立てるなど、できる動作は本人に行ってもらいます。すべてを介助すると、本人の動く機会が減るだけでなく、ご家族の身体的な負担も大きくなります。
腕だけを強く引っ張らない
腕や肩だけを引くと、肩の痛みや皮膚の損傷につながるおそれがあります。手首をつかんで引き上げるのではなく、肩や骨盤など身体の広い部分をやさしく支えます。
膝と骨盤の動きを利用して身体を横へ向ける
本人に膝を立ててもらい、膝を寝返る方向へ倒します。介助者は骨盤や肩甲骨付近を支え、脚、骨盤、上半身の順に身体が回るよう手伝います。
「せーの」とタイミングを合わせる
本人の動きと介助者の力がずれると、寝返りが難しくなります。「せーの」と声をかけて一緒に動き始めると、少ない力で介助しやすくなります。
介助する家族も腰をひねらない
介助者はベッドへ近づき、足を前後に開いて膝を曲げます。腰だけをひねらず、足の位置を変えながら身体全体で動きましょう。
一人で安全に介助できない場合は、無理に持ち上げず、理学療法士、作業療法士、訪問看護師などに、実際のベッドで介助方法を確認してもらいましょう。
夜間や早朝だけ寝返りができないときはオフ症状も確認する
パーキンソン病では、日中は寝返りができても、夜間や早朝になると身体が動かしにくくなることがあります。寝返り訓練だけで改善しない場合は、薬の効果が弱まるオフ症状も確認しましょう。
日中はできるのに夜間だけ難しいことがある
夜間に寝返りや起き上がりが難しくなる状態は、夜間無動や夜間寡動と呼ばれます。同じ姿勢が続くことによる腰や肩の痛み、夜間頻尿などが重なり、睡眠が途切れることもあります。
薬の効果が弱まると筋固縮や無動が強くなる
オフ時間とは、次の服薬前などに薬の効果が弱まり、動作緩慢、筋固縮、痛みなどが戻る時間です。夜間から早朝に薬の効果が弱まると、身体をひねる、膝を立てるといった寝返り動作が難しくなる場合があります。
寝返りの時間と服薬時間を記録する
寝返りが難しかった時刻、服薬時刻、痛みやこわばり、起き上がりやすさを記録しましょう。「毎日午前4時頃に動けない」などの傾向が分かると、主治医が薬の効き方を判断しやすくなります。
薬を自己判断で追加・変更しない
夜中に動けないからといって、薬の量や時間を自分で変えてはいけません。薬の調整によって、ジスキネジア、幻覚、眠気などが現れる場合もあるため、必ず主治医の指示を受けてください。
夜間症状が続く場合は主治医へ相談する
夜間の寝返り困難で眠れない、家族の介助が毎晩必要、早朝に強い痛みやジストニアがある場合は、脳神経内科へ相談しましょう。夜間無動に対して薬の調整が検討されることもありますが、症状や副作用を踏まえた個別の判断が必要です。
リハビリでは寝返りの何を確認する?
パーキンソン病の寝返りに対するリハビリでは、「筋力が弱いから」と決めつけず、どの動作が難しいのか、痛みやオフ症状、寝具が影響していないかを総合的に確認します。
動作のどの段階で止まっているか確認する
顔を向ける、腕を伸ばす、膝を立てる、脚を倒す、骨盤と肩を回すという順番で確認します。難しい段階を見つけ、その動作に合った声かけや練習方法を選びます。
首・肩・胸郭・骨盤・股関節の動きを評価する
寝返りには腰だけでなく、首、胸郭、骨盤、股関節の動きが必要です。身体を一つのかたまりのように動かしていないか、左右で動きに差がないかを確認します。
筋固縮や筋力、痛みを確認する
体幹や手足の筋固縮、足でベッドを押す力、腰痛や肩の痛みを確認します。痛みをかばって動けない場合は、寝返り訓練より先に痛みの原因を確認する必要があります。
ベッドや寝具を含めて環境を確認する
マットレスへの沈み込み、シーツや寝間着の摩擦、掛け布団の重さ、手すりの位置などを確認します。自宅では、実際に使用している寝具で評価すると、具体的な改善策を見つけやすくなります。
家族の介助方法も一緒に練習する
腕を引っ張る介助になっていないか、本人と動くタイミングが合っているかを確認します。本人の動きを引き出し、足りない部分だけを支える方法をご家族と練習します。
オン時間とオフ時間で動作を比較する
薬が効いているオン時間と、効果が弱まるオフ時間では、筋固縮や動作の速さが変わることがあります。動作能力や必要な介助量を時間帯ごとに確認し、運動方法や生活上の対策を調整します。

寝返りが難しいときに医療機関へ相談すべき症状
パーキンソン病では徐々に寝返りが難しくなることがありますが、急な変化や痛み、しびれを伴う場合は、オフ症状や病気の進行と決めつけないことが大切です。
急に寝返りができなくなった
数時間から数日のうちに急に動けなくなった場合は、薬の飲み忘れ、感染症、脱水、脳や神経の病気なども考えます。意識や会話の様子も普段と違う場合は、早めに医療機関へ連絡してください。
転倒後から腰や背中が痛む
転倒や尻もちの後に、寝返りで強く痛む場合は、打撲だけでなく背骨の圧迫骨折などが隠れている可能性があります。寝返り訓練やマッサージは行わず、整形外科などへ相談しましょう。

片側の手足に急な力の入りにくさがある
片側の手足が急に動かない、顔がゆがむ、ろれつが回らない場合は、脳卒中の可能性があります。パーキンソン病の症状と思い込まず、すぐに救急要請をしてください。
強いしびれや感覚の変化を伴う
両脚のしびれや筋力低下、陰部周辺の感覚低下、排尿・排便の変化を伴う場合は、腰の神経が強く圧迫されている可能性があります。これらは早急な診察が必要な症状です。
発熱や強い体調不良がある
寝返りにくさや腰痛に、発熱、寒気、強いだるさなどを伴う場合は、感染症などが関係することがあります。無理に運動せず、速やかに医療機関へ相談してください。
夜間の動きにくさで睡眠や介護に支障が出ている
寝返りができず毎晩目が覚める、ご家族による介助が続いている場合も相談の目安です。寝返りが難しい時間と服薬時刻を記録し、脳神経内科へ相談しましょう。
パーキンソン病の寝返りについてよくある質問
必ずしも進行だけが原因ではありません。オフ症状、筋固縮、腰や肩の痛み、寝具の沈み込みなどでも寝返りは難しくなります。日中と夜間の違いや服薬時間を確認しましょう。
痛みや強い疲労がなければ、短時間から継続して構いません。回数を増やすより、正しい順番で安全に動くことを優先し、痛みやしびれが出たら中止してください。
まずは身体が動きやすいオン時間に練習すると、動作の順番を覚えやすくなります。夜間のオフ時にも困っている場合は、小さな動作や介助方法も理学療法士と確認しましょう。
寝返りだけでは一概に決められませんが、起き上がりや立ち上がりまで考えると、高さを調整できるベッドが適する場合があります。柔らかすぎるマットレスや重い掛け布団は、動きを妨げることがあります。
腕だけを強く引く介助は避けましょう。本人に顔、腕、脚を動かしてもらい、家族は骨盤や肩甲骨周辺を支えて、動作の足りない部分だけを補います。
マットレスとの隙間に身体が挟まる事故もあるため、設置位置や製品が本人に合っているかを専門職と確認してください。
まずはパーキンソン病を診てもらっている脳神経内科へ相談しましょう。動作や寝具、介助方法は理学療法士・作業療法士、急な痛みや転倒後の症状は整形外科への相談が適しています。
まとめ
パーキンソン病の寝返り困難には複数の原因がある
寝返りが難しくなる背景には、動作緩慢、筋固縮、体幹のひねりにくさ、オフ症状、痛み、寝具環境などが関係します。
動作を分けて難しい部分に合わせた訓練を行う
顔を向ける、腕を伸ばす、膝を立てる、骨盤と肩を回すなど、寝返りを分けて確認し、難しい部分に合った練習を行いましょう。
家族の介助や寝具環境も一緒に見直す
ご家族は腕を強く引かず、本人の動きを生かしながら介助します。マットレス、掛け布団、ベッドの高さ、手すりの位置も確認しましょう。
夜間や早朝だけ難しい場合は主治医へ相談する
日中は寝返りができても、夜間や早朝だけ難しい場合は、オフ症状が関係していることがあります。服薬時間と症状を記録し、主治医へ相談してください。
参考文献・参考資料
- 日本神経学会監修「パーキンソン病診療ガイドライン」作成委員会編.パーキンソン病診療ガイドライン2018.医学書院,2018.
パーキンソン病の運動症状、症状変動、薬物療法、リハビリテーションを確認する基礎資料です。(日本神経学会) - Osborne JA, Botkin R, Colon-Semenza C, et al. Physical Therapist Management of Parkinson Disease: A Clinical Practice Guideline From the American Physical Therapy Association. Physical Therapy. 2022;102(4):pzab302.
パーキンソン病に対する運動療法、動作練習、バランス・歩行訓練などの理学療法指針です。(PubMed Central (PMC)) - Keus SHJ, Munneke M, Graziano M, et al. European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease. ParkinsonNet/KNGF; 2014.
寝返りや起き上がりなどのベッド上動作、外的な合図、介助・環境調整を含む実践的な理学療法ガイドラインです。(ParkinsonNet) - National Institute for Health and Care Excellence(NICE). Parkinson’s Disease in Adults(NG71).
夜間無動・夜間寡動を含むパーキンソン病の治療や、薬を自己判断で変更しないことの根拠です。(ナイス) - Li S, et al. Impaired Night-time Mobility in Patients with Parkinson’s Disease: A Systematic Review. Frontiers in Aging Neuroscience. 2023;15:1264143.
夜間の寝返り困難の原因、評価方法、睡眠や痛み、ご家族の介護負担との関係をまとめた総説です。(PubMed Central (PMC))


