パーキンソン病の運動は週何回・何分?頻度・時間・強度の目安を理学療法士が解説

「パーキンソン病では運動が大切」と聞いても、実際に始めようとすると、
「週に何回くらい運動すればいいの?」
「1回30分は続けないといけない?」
「毎日やったほうがいい?」
「どのくらいの強さで運動すればいいの?」
と迷う方は少なくありません。
パーキンソン病の運動療法では、どのような運動をするかだけでなく、頻度・時間・強度をどのように設定するかも大切です。現在の運動推奨では、有酸素運動や筋力トレーニング、バランス運動、ストレッチなどを組み合わせ、週全体で一定の運動量を確保することが勧められています。
一方、すべての方が最初から同じ運動量をこなす必要はありません。症状や体力、転倒リスク、薬が効いている時間帯、普段の活動量などによって、適した運動量は変わります。
この記事では、パーキンソン病の方が運動を行う際の「週何回」「1回何分」「どのくらいの強度」という目安について、現在の運動推奨をもとに理学療法士の視点からわかりやすく解説します。
大切なのは、理想的な運動量を一度に達成することではなく、現在の身体の状態や生活に合わせて、無理なく継続できる運動量を見つけることです。
パーキンソン病の運動は週何回・何分?まず目安を確認

2026年に更新されたParkinson’s FoundationとAmerican College of Sports Medicine(ACSM)の運動推奨では、有酸素運動・筋力トレーニング・ストレッチ・バランス/敏捷性/マルチタスク運動を組み合わせることが示されています。
まずは、おおまかな目安を確認しておきましょう。
| 運動の種類 | 頻度 | 時間・量の目安 |
|---|---|---|
| 有酸素運動 | 週3日以上 | 1回30分以上 |
| 筋力トレーニング | 週2〜3日の非連続日 | 1回30〜60分へ段階的に |
| バランス・敏捷性など | 週2〜3日以上 | 1回30〜60分へ。ほかの運動との組み合わせも可能 |
| ストレッチ | 週2〜3日以上 | 各筋群15〜30秒程度。可能なら日常的に行う |
また、複数の運動を組み合わせながら、週150分以上の運動を確保することが推奨されています。
ただし、これは「全員が最初からすべて達成しなければならない」という意味ではありません。運動習慣や体力、症状に合わせ、段階的に目標へ近づけていくことが大切です。
パーキンソン病の運動は週何回行えばいい?
有酸素運動は週3日以上が目安
ウォーキング、自転車、水泳、ダンスなどの有酸素運動は、週3日以上が目安です。
APTA(米国理学療法士協会)の診療ガイドラインでも、有酸素運動は強く推奨されており、運動機能や全身持久力などへの効果が報告されています。
すくみ足や転倒リスクがある場合は、歩くことだけにこだわらず、固定式自転車など、より安全に実施できる方法を選ぶことも大切です。
筋力トレーニングは週2〜3日を目安にする
筋力トレーニングは、週2〜3日の連続しない日に行うことが推奨されています。
脚だけではなく、上肢や体幹など主要な筋群をバランスよく動かします。同じ筋肉へ毎日強い負荷をかける必要はなく、運動後の回復も含めて計画することが重要です。
バランス運動は週2〜3日以上、日常生活にも取り入れる
重心移動、多方向へのステップ、方向転換、大きな動きなどを含むバランス・敏捷性の運動は、週2〜3日以上が目安です。
可能であれば日常生活にも取り入れますが、転倒歴やすくみ足がある方では安全性を優先します。壁や手すり、安定した椅子などを利用し、必要に応じて見守りのある環境で行いましょう。
ストレッチは週2〜3日以上、可能なら日常的に行う
ストレッチは、週2〜3日以上、可能であれば日常的に行うことが推奨されています。
ただし、パーキンソン病に対する柔軟性運動の研究エビデンスは、有酸素運動や筋力・バランストレーニングと比べると限定的です。ストレッチだけに偏らず、ほかの運動と組み合わせて行いましょう。
1回の運動時間は何分くらいがいい?
有酸素運動は1回30分程度がひとつの目安
有酸素運動は、1回30分以上がひとつの目安です。
体力や安全面に問題がなければ、ウォーキングや自転車などを30分程度継続することを目標にするとわかりやすいでしょう。
最初から30分続けて行わなくてもよい
これまで運動習慣がなかった方が、いきなり30分運動する必要はありません。
最初は短い時間から始め、身体の反応を確認しながら少しずつ時間を延ばしていきます。専門職向け推奨では有酸素運動は30分以上の連続した活動が基本ですが、インターバルトレーニングも選択肢とされています。
「30分できないから意味がない」と考えず、まず運動を始め、継続できる時間を少しずつ増やしていくことが大切です。
筋力・バランス・ストレッチは他の運動と組み合わせてもよい
すべての運動を別々に長時間行う必要はありません。
ウォーキングの前後にストレッチを行う、筋力トレーニングに重心移動やステップ練習を組み合わせるなど、目的の異なる運動をまとめて行うこともできます。
1回の運動時間だけを見るのではなく、1週間を通してさまざまな身体機能に働きかけられているかを考えましょう。
パーキンソン病では毎日運動したほうがいい?
パーキンソン病では、日常的に身体を動かすことは大切ですが、毎日すべての運動を行う必要はありません。
毎日「体を動かすこと」と毎日「負荷をかけること」は違う
散歩、買い物、家事なども身体活動の一部です。
一方、息が上がる有酸素運動や筋力トレーニングは身体に一定の負荷を与えます。日常的に身体を動かすことを意識しながら、高い負荷をかける運動については休息も組み合わせましょう。
軽い運動やストレッチは日常生活に取り入れやすい
朝に身体を伸ばす、座っている時間を減らす、生活の中で大きく身体を動かすなど、短時間の活動は毎日の生活にも取り入れやすいでしょう。
ストレッチは週2〜3日以上、可能なら日常的に行うことが推奨されています。
筋力トレーニングでは休息をとることも大切
筋力トレーニングは非連続日に行うことが基本です。
たとえば、月曜日に筋力トレーニングをしたら、火曜日は有酸素運動や軽いストレッチを中心にするといった組み方ができます。
休息も運動を継続するための計画の一部と考えましょう。
運動できない日があっても問題ではない
体調や疲労、予定によって運動できない日があっても、翌日にその分をまとめて取り戻す必要はありません。
毎日完璧にこなすことより、週単位で考え、長く続けられる習慣をつくることが重要です。
パーキンソン病の運動強度はどのくらいがいい?

まずは中等度の運動から始める
2026年版の運動推奨では、有酸素運動はまず中等度の強度から始めることが示されています。
ひとつの目安は最大心拍数の60〜65%程度ですが、運動習慣が少ない方や体力に不安がある方では、さらに軽い運動から開始しても構いません。
「少しきつい」と感じる程度をひとつの目安にする
一般の方には、「どのくらいきつく感じるか」を目安にするとわかりやすいでしょう。
中等度では、安静時より呼吸は増えるものの、「少しきついけれど、まだ続けられる」程度が目安です。
自覚的運動強度(RPE)を活用する
RPE(自覚的運動強度)は、本人が感じる運動のきつさを数値で表す方法です。
中等度の目安は、RPE 12〜13/20、または3〜4/10程度です。安全に運動できる場合には、6〜8週間程度かけて、より高い強度へ段階的に進めることも検討されます。
心拍数だけでは運動強度を判断しにくい場合もある
パーキンソン病では、自律神経機能などの影響によって、運動時の心拍数反応が通常と異なる場合があります。
そのため、心拍数だけでなく、RPEや呼吸状態、体調なども組み合わせて強度を判断することが大切です。
高い強度ほど必ずよいわけではありません。安全に継続できる範囲で段階的に負荷を調整しましょう。
運動をやりすぎるとよくない?
パーキンソン病では継続的な運動が推奨されていますが、その人の状態に対して負荷が大きすぎれば、疲労や痛み、転倒などにつながる可能性があります。
運動直後だけでなくその日の生活への影響を見る
「30分歩けた」という結果だけでは、適切な運動量だったかは判断できません。
運動後に疲れて長時間横になってしまう、家事や外出ができなくなるといった場合には、運動時間や強度を調整する必要があるかもしれません。
翌日まで強い疲労が残る場合は運動量を見直す
パーキンソン病では疲労そのものが症状としてみられるため、翌日の疲れがすべて運動によるものとは限りません。
ただし、運動後に普段以上の強い疲労が続き、翌日の活動量低下を繰り返す場合は、頻度・時間・強度を見直す目安になります。
調子がよい日に頑張りすぎない
薬がよく効いて動きやすい日でも、一度に運動量を大きく増やすことは避けましょう。
調子がよいときほど休憩を取りながら、普段の運動量を基準に調整することが大切です。
痛み・めまい・息苦しさなどがある場合は無理をしない
運動中に強い痛み、めまい、胸痛、いつもと異なる強い息苦しさなどがみられた場合は、無理に運動を続けないようにしましょう。
「できるところまで頑張る」のではなく、その後の生活につなげられる負荷で終えることも、運動を継続するための大切な考え方です。
理学療法士として運動の頻度・時間・強度を考えるときに確認していること
ガイドラインには「週3回」「1回30分」「週150分」などの目安があります。しかし、実際に運動量を考えるときには、数字だけでなくその方の生活全体を見る必要があります。
「できる運動量」と「続けられる運動量」は同じではない
一度だけ30分歩けたとしても、それを毎週続けられるとは限りません。
運動は一度頑張って終わるものではないため、「最大でどこまでできるか」だけでなく、無理なく繰り返せる運動量かどうかを考えることが大切です。
まずは、週に1回20-30分程度の運動からもでも問題はありません。継続的に行えるかどうかのほうがずっと大切です。
運動した直後だけでなく翌日の状態まで確認する
運動直後だけでなく、帰宅後や翌日に普段の生活を維持できているかも重要な判断材料です。
ただし、疲労には睡眠やパーキンソン病自体の症状なども関係するため、運動だけを原因と決めつけず、全体の状態を確認します。
よくリハビリを担当した方には、今日運動したことで、今日の夜・明日・明後日に疲労がとても残る、痛みが出るなどの症状があったら教えてくださいと必ずお伝えしています。その状況に応じて運動量を調整したり、運動の内容を見直したりするためとても大事な情報源となります。
普段の生活でどのくらい動いているかも確認する
同じ30分の運動でも、普段から買い物や家事、散歩をしている方と、座って過ごす時間が長い方では身体への負担が異なります。
そのため、運動時間だけではなく、一日を通した身体活動量も含めて考えます。
オン・オフやその日の体調によって運動量を調整する
薬が効いている時間帯、疲労、睡眠、その日の体調などによって、同じ人でも動きやすさは変化します。
毎回同じ運動量をこなすことにこだわらず、その日の状態に合わせて時間や強度を調整することも必要です。
別の記事でもお伝えしたのですが、お薬が効いている「オン」の状態が1日を通してどのような変化があるか記録しておいてもらうことがあります。これによって、適切な運動の時間や量を設定します。
転倒リスクがある場合は「運動量」より安全性を優先する
すくみ足やバランス低下、転倒歴がある方では、30分行うことよりも安全に実施できる方法を優先します。
手すりや椅子を利用する、運動種目を変更する、見守りをつけるなど、環境の調整も運動処方の一部です。
運動だけで一日を終わらせないことも大切
運動を頑張った結果、その後は疲れて一日中ほとんど動けないのであれば、その方に適した運動量だったのかを考える必要があります。
運動だけでなく、家事、外出、趣味などを含め、運動を続けながら生活そのものを維持できるかという視点はAXIS-PDとしてとても大切にしています。
症状や病期によって頻度・時間・強度は変えてよい
パーキンソン病の運動は、病期が変化しても同じ内容を続ける必要はありません。身体機能や認知機能、安全性に合わせて運動方法を変更します。
初期では運動習慣をつくることも大切
症状が比較的軽い初期から運動を生活に取り入れ、継続する習慣をつくることは重要です。
動ける時期から、有酸素運動や筋力・バランス運動などを生活の中に定着させていきましょう。
バランス能力が低下してきたら安全な方法に変更する
歩行が不安定になってきた場合も、運動そのものをやめる必要があるとは限りません。
支持物を使う、固定式自転車などに変更するなど、安全性を確保しながら身体を動かす方法を検討します。
オフ時や疲労が強い日は運動量を減らしてよい
基本的には薬が効いて動きやすい「オン」の時間帯に運動することが勧められます。
オフ時や疲労が強い日は、時間を短くする、強度を下げるなど、その日の状態に合わせて調整して構いません。
転倒リスクが高い場合は一人で行わない
転倒を繰り返している、すくみ足やバランス低下が強い場合には、一人で無理に運動しないようにしましょう。
必要に応じて家族の見守りや、理学療法士など専門家の指導を受けることも大切です。
パーキンソン病の1週間の運動スケジュール例

有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動・ストレッチは、1週間の中で組み合わせることができます。
たとえば、次のような方法があります。
| 曜日 | 運動の例 |
|---|---|
| 月曜日 | 有酸素運動30分+ストレッチ |
| 火曜日 | 筋力トレーニング+バランス運動 |
| 水曜日 | 有酸素運動30分+軽いストレッチ |
| 木曜日 | 軽い運動や日常活動を中心にする |
| 金曜日 | 筋力トレーニング+バランス運動 |
| 土曜日 | 有酸素運動30分+ストレッチ |
| 日曜日 | 休養、または体調に合わせて軽く身体を動かす |
これはあくまで一例であり、この通り行う必要はありません。
有酸素運動・筋力・バランス・ストレッチを組み合わせる
曜日によって運動内容を変えることで、複数の身体機能に働きかけながら、負担も分散できます。
ウォーキングだけ、ストレッチだけと一種類に偏らず、1週間単位で運動内容を振り返るとよいでしょう。
毎日同じ運動をする必要はない
毎日同じメニューを行う必要はありません。
有酸素運動の日、筋力・バランス運動の日、軽く身体を動かす日などに分けることで、継続しやすくなります。
休養日や軽い運動の日もつくる
疲労が強い日は、運動時間や強度を下げたり、休養日に変更したりしても構いません。
休養日でも、体調がよければ家事や買い物など普段の生活の中で身体を動かすことができます。
運動計画は「必ず守る予定表」ではなく、体調に合わせて調整するための目安として活用しましょう。
運動を始める前に専門家へ相談したほうがよいケース
運動はパーキンソン病の方に推奨されていますが、症状や持病によっては、主治医や理学療法士などへ相談してから始めたほうが安全な場合があります。
転倒を繰り返している
すくみ足や方向転換時のふらつきなどで転倒を繰り返している場合は、単純に歩行量を増やすのではなく、安全な運動方法を検討する必要があります。
運動中にめまい・胸痛・強い息苦しさがある
パーキンソン病では起立性低血圧がみられることがあります。また、胸痛や強い息苦しさは心臓や呼吸器の病気が関係している場合もあります。
症状が繰り返される場合は医師へ相談してください。強い胸痛や失神、急激な呼吸困難などがある場合は、運動を中止して速やかな医療機関への受診が必要です。
オン・オフが大きく運動する時間帯がわからない
オン・オフの時間が一定しない、急に動きにくくなるといった場合には、服薬と身体の動きの関係を主治医や理学療法士と整理するとよいでしょう。
運動のために、自己判断で薬の量や服用時間を変更しないでください。

どのくらいの運動量が自分に適しているかわからない
運動量は年齢や病期だけでは決まりません。
歩行、バランス、筋力、持久力、普段の活動量、転倒歴、持病などを総合して考えます。
「どこまで運動してよいかわからない」ということ自体が、専門家へ相談するひとつの理由になります。
AXIS-PDでは、無料の相談窓口があります。運動やリハビリのことを聞きたいという方は、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
毎日すべての運動を行う必要はありません。日常的に身体を動かしながら、運動の種類に応じて休息も取り入れましょう。
いいえ。30分はひとつの目安です。運動習慣がない方は、まず短時間から始めて少しずつ増やしても構いません。
まずは続けられる頻度から始めることが大切です。可能であれば、体調に合わせて少しずつ回数や時間を増やしていきましょう。
150分は目標であり、最初から達成できなくても構いません。現在の体力や症状に合わせて、できる量から段階的に増やしましょう。
運動そのものを過度に恐れる必要はありません。ただし、強い疲労や痛み、転倒などにつながる場合は、運動量や強度を見直す必要があります。
一般的には、薬が効いて身体を動かしやすい「オン」の時間帯のほうが、安全に運動しやすいと考えられます。
まとめ
頻度・時間・強度をセットで考え、自分に合った運動量を続けることが大切
パーキンソン病の運動では、週何回行うか、1回何分行うか、どのくらいの強度で行うかをセットで考えることが大切です。
有酸素運動や筋力トレーニング、バランス運動、ストレッチを組み合わせながら、週150分程度をひとつの目標にします。
ただし、すべての方が最初からこの量を達成する必要はありません。体力や症状、オン・オフ、転倒リスク、日常の活動量に合わせ、無理なく継続できる運動量を見つけていくことが重要です。
参考文献・参考資料
- Parkinson’s Foundation, American College of Sports Medicine(ACSM). Parkinson’s Exercise Guidelines for Exercise Professionals. 2025.
- Parkinson’s Foundation. Parkinson’s Disease Exercise Recommendations Updated by Parkinson’s Foundation and American College of Sports Medicine. 2026.
- Osborne JA, Botkin R, Colon-Semenza C, et al. Physical Therapist Management of Parkinson Disease: A Clinical Practice Guideline From the American Physical Therapy Association. Physical Therapy. 2022;102(4):pzab302.
- Parkinson’s Foundation. Exercise and Parkinson’s.
- World Health Organization. WHO Guidelines on Physical Activity and Sedentary Behaviour. 2020.









