パーキンソン病でもウォーキングはした方がいい?効果・歩き方・注意点を理学療法士が解説

パーキンソン病の方にとって、ウォーキングは取り入れやすい運動の一つです。一方で、「歩いた方がよいのは分かるけれど、転ばないか心配」「すくみ足や小刻み歩行があっても続けてよいのか」「毎日どのくらい歩けばよいのか」と不安に感じる方も少なくありません。
パーキンソン病では、歩幅が小さくなる、腕の振りが減る、前かがみになる、最初の一歩が出にくくなるなど、歩き方にさまざまな変化が起こります。そのため、ただ歩数を増やすのではなく、症状や体力、薬の効き方、その日の体調に合わせて、安全に取り組むことが大切です。
ウォーキングは、活動量や持久力を保つだけでなく、外出や気分転換のきっかけにもなります。ただし、すべての方に同じ時間や距離が適しているわけではありません。歩行のふらつきや転倒リスクがある場合は、コースや速度、付き添いの有無などを調整する必要があります。
この記事では、パーキンソン病のリハビリに携わる理学療法士の視点から、ウォーキングで期待できる効果、安全な歩き方、時間や頻度の目安、すくみ足への対応、ノルディックウォーキングやウォーキングマシンを利用する際の注意点まで分かりやすく解説します。
パーキンソン病でもウォーキングはした方がいい?
パーキンソン病の方にとって、ウォーキングは日常生活に取り入れやすい運動の一つです。活動量や持久力の維持に役立つ可能性がありますが、「パーキンソン病だから毎日たくさん歩くべき」と一律に考える必要はありません。症状や体力、転倒リスクに合わせて、安全に続けることが大切です。また、是非一度ウォーキングの前に検討していただきたいのが、靴です。自分の足のサイズや形状に合った靴を履くこと。ここがスタートラインです。


ウォーキングは取り入れやすい有酸素運動
ウォーキングは特別な道具を必要とせず、自宅周辺や公園、屋内でも行える有酸素運動です。歩くことで全身を使い、脚の筋力や持久力を保つ機会にもなります。
ただし、歩数や距離だけを目標にするのではなく、安定した姿勢や歩幅、腕振りなど、歩き方の質にも目を向けましょう。
歩ける距離や時間には個人差がある
適切なウォーキングの時間や距離は、病気の進行度だけでは決まりません。普段の活動量、薬の効き方、疲れやすさ、持病などによって異なります。
最初は5~10分程度から始め、途中で休憩しても問題ありません。歩いた後や翌日に強い疲れが残る場合は、時間や距離を減らしましょう。
歩行障害がある場合は方法を調整する
すくみ足、小刻み歩行、ふらつきなどがある方は、平らで歩き慣れた道を選ぶ、家族と一緒に歩く、薬が効いているオン時間に行うなどの工夫が必要です。
転倒が増えている場合は、無理に屋外を歩かず、主治医や理学療法士へ相談してください。
無理に毎日歩く必要はない
ウォーキングは継続が大切ですが、毎日行わなければ効果がないわけではありません。体調のよい日に週数回から始めたり、短時間の歩行を複数回に分けたりする方法もあります。
「何歩歩いたか」だけにこだわらず、現在の身体に合った量を、安全に続けることを優先しましょう。
パーキンソン病の方がウォーキングを行うメリット
ウォーキングは、パーキンソン病の方が日常生活に取り入れやすい運動の一つです。病気そのものを治す運動ではありませんが、症状や体力に合わせて安全に続けることで、身体活動量の確保や歩行機能の維持、気分転換などにつながります。
全身持久力や活動量の維持につながる
外出や運動の機会が減ると、少し動いただけでも疲れやすくなることがあります。無理のないウォーキングを継続することは、心肺機能や全身持久力を保ち、日常生活での活動量低下を防ぐ助けになります。
脚の筋力低下を防ぐ運動になる
歩行では、お尻や太もも、ふくらはぎなどの筋肉を使います。ウォーキングだけですべての筋力低下を防げるわけではありませんが、立つ・歩くために必要な脚の筋肉を使う機会になります。必要に応じて筋力トレーニングも組み合わせましょう。

歩幅や腕振りを意識する機会になる
パーキンソン病では、歩幅や腕振りが小さくなりやすい傾向があります。安全な場所で歩幅を少し大きくする、目線を上げる、腕を前後に振るなどを意識すると、普段の歩き方を確認する機会になります。
外出や気分転換のきっかけになる
屋外を歩くことは、景色や季節の変化を感じ、気分を切り替えるきっかけになります。家族や友人と一緒に歩けば、人との交流や外出を続ける機会にもなるでしょう。
生活習慣病や体重管理にも役立つ
ウォーキングを含む定期的な身体活動は、体重管理や生活習慣病の予防にも役立ちます。ただし、歩きすぎによる疲労や転倒には注意し、歩数だけでなく安全性や継続しやすさを優先することが大切です。
パーキンソン病では歩き方にどのような変化が起こる?
パーキンソン病では、動作の遅さや筋肉のこわばり、姿勢を保つ能力の低下により、歩幅・姿勢・腕振り・方向転換などに変化がみられることがあります。すべての方に同じ症状が現れるわけではありませんが、ウォーキングを安全に行うために、自分の歩き方の特徴を把握しておくことが大切です。
歩幅が小さくなる小刻み歩行
一歩の幅が小さくなり、足をすりながら細かく歩くことがあります。歩数だけを増やそうとすると疲れやすいため、安定した場所で歩幅を少し大きく意識します。
最初の一歩が出にくくなるすくみ足
歩き始めや出入口、狭い場所などで、足が床に貼り付いたように出にくくなることがあります。無理に前へ進もうとせず、一度止まって姿勢やリズムを整えましょう。
徐々に歩く速度が上がる突進歩行
前かがみの姿勢で小さな歩幅が続き、徐々に歩く速度が上がって止まりにくくなる場合があります。下り坂や急いでいる場面では、転倒に注意が必要です。
腕振りや体幹の回旋が小さくなる
片側または両側の腕振りが小さくなり、上半身をひねらずに歩くことがあります。歩行全体が小さくなるため、安全を確認しながら腕を前後に動かすことを意識します。
前かがみ姿勢になりやすい
背中が丸くなって目線が下がると、前方の障害物に気づきにくくなります。胸を軽く起こし、数メートル先を見るようにすると進行方向を確認しやすくなります。
方向転換や狭い場所で足が止まりやすい
方向転換、ドアの通過、人混みでは、すくみ足が起こりやすくなります。急に身体の向きを変えず、大きな弧を描くように数歩かけて回ることが安全につながります。
ウォーキングを始める前に確認したい身体の状態
パーキンソン病の方が安全にウォーキングを行うには、病気の進行度だけでなく、その日の体調を確認することが大切です。次の項目は歩いてよいかを自己判断するテストではなく、時間・距離・付き添いの有無を検討するための確認ポイントです。
薬が効いているオン時間か
身体を動かしやすいオン時間に歩くと、歩幅やバランスが安定しやすくなります。薬の効果が切れる時間を考え、余裕を持って帰宅できるコースを選びましょう。運動はオン時間に行うことが推奨されています。

立位や歩行で強いふらつきがないか
立っているときや室内を歩いたときに、普段より強いふらつきがないか確認します。転倒が増えている場合は、一人で屋外を歩かず、主治医や理学療法士に相談してください。
めまいや立ちくらみがないか
パーキンソン病では、起立性低血圧によって立ちくらみやめまいが起こることがあります。症状がある場合は無理に歩き始めず、座って休みましょう。
足や腰に痛みがないか
足・膝・股関節・腰に痛みがあると、かばう歩き方になり、転倒や症状悪化につながる場合があります。痛みが強い日は距離を短くするか、ウォーキングを休みます。
いつもより疲労やこわばりが強くないか
睡眠不足や体調不良があると、身体のこわばりや動きにくさが強くなることがあります。普段より足が出にくい日は、屋内運動などへ変更しましょう。
往復できる体力が残っているか
行きに体力を使い切ると、帰りに歩幅が小さくなり、転倒リスクが高まります。最初は短い周回コースを選び、途中で休める場所や帰宅手段も確認しておきましょう。
パーキンソン病の方におすすめの歩き方

パーキンソン病では、歩幅や腕振りが小さくなり、姿勢や歩行リズムが崩れることがあります。ウォーキングでは、理想的なフォームを無理に再現するよりも、転倒しない範囲で「大きさ・リズム・安定性」を意識することが大切です。
目線を上げて進行方向を見る
足元ばかりを見ると前かがみになり、周囲の段差や障害物にも気づきにくくなります。あごを軽く引き、数メートル先を見るようにしましょう。段差や不整地では、安全確認のために足元を見ることも必要です。
歩幅を少し大きく意識する
小刻み歩行がある場合は、「大股で歩かなければ」と力まず、普段より少し大きな一歩を意識します。足元に線や目印がある場合は、それをまたぐように歩く方法も役立つことがあります。
腕を前後に振る
パーキンソン病では、片側または両側の腕振りが小さくなりやすい傾向があります。肩に力を入れず、脚の動きに合わせて腕を前後へ自然に動かしましょう。腕振りだけに集中して歩行が不安定になる場合は、無理に行いません。
一定のリズムで歩く
「1、2、1、2」と数える、一定のテンポの音楽に合わせるなど、外からリズムを与えると歩きやすくなる場合があります。すくみ足が出たときにも、数を数える方法が利用されています。
かかとから接地することにこだわりすぎない
かかとから着くことを強く意識すると、身体に力が入ったり、足を前へ出しにくくなったりする場合があります。接地方法よりも、足を引きずらず、安全に一歩を出せているかを優先しましょう。
速さよりも安定した歩行を優先する
速く歩くことだけが効果的なウォーキングではありません。姿勢や歩幅を保ち、急がずに止まれる速度を選びます。ふらつきや歩幅の乱れが強くなったら、速度を落とすか休憩しましょう。
ウォーキングは何分・どのくらいの頻度で行う?
パーキンソン病の方がウォーキングを行う時間や頻度は、症状、体力、普段の活動量によって異なります。「毎日○分」「1日○歩」と一律に決めるのではなく、安全に続けられる量から始めることが大切です。
まずは5~10分程度から始める
運動習慣がない方や久しぶりに歩く方は、まず5~10分程度から始めましょう。短時間でも、体調に合わせて継続することに意味があります。慣れてきたら、数分ずつ時間を延ばします。
会話ができる程度の強さを目安にする
ウォーキング中に会話ができる程度の速さは、無理なく続けやすい目安です。息が切れて話しにくい、姿勢や歩幅が崩れる場合は、速度を落としてください。
途中で休憩してもよい
一度に長く歩く必要はありません。ベンチなどで休憩したり、10分のウォーキングを朝と午後に分けたりしてもよいでしょう。疲れる前に休むことが、安全な継続につながります。
毎日ではなく週に数回からでもよい
毎日歩かなければ効果が得られないわけではありません。まずは週2~3回など、無理なく続けられる頻度から始めます。体調が悪い日は休み、室内運動へ変更しても問題ありません。
歩数だけを目標にしない
歩数を増やすことだけにこだわると、小刻み歩行のまま無理をして歩く可能性があります。歩幅、姿勢、腕振り、ふらつきの有無など、歩き方の質も確認しましょう。
翌日の疲労まで確認して調整する
ウォーキング中に問題がなくても、終了後や翌日に強い疲労、こわばり、痛みが残る場合があります。その場合は、時間や距離、頻度が多すぎる可能性があります。翌日まで無理なく過ごせる運動量を目安に調整しましょう。
安全にウォーキングを続けるための注意点

パーキンソン病の方がウォーキングを続けるには、歩き方だけでなく、コースや天候、時間帯にも配慮する必要があります。体調がよい日でも無理をせず、安全に帰宅できる範囲で行いましょう。
平らで歩き慣れたコースを選ぶ
最初は自宅周辺や公園など、平らで道幅が広く、歩き慣れたコースを選びます。途中で休めるベンチやトイレの場所も確認しておくと安心です。
段差・傾斜・人混みを避ける
段差や坂道、砂利道では、足が引っかかったり、バランスを崩したりしやすくなります。人混みでは歩行リズムが乱れ、すくみ足が出る場合もあるため、混雑する時間帯は避けましょう。
暑さ・寒さ・雨天時は無理をしない
暑い日は脱水や立ちくらみ、寒い日は身体のこわばりが強くなる可能性があります。雨や雪で路面が滑りやすい日は、屋外ウォーキングを中止し、室内運動へ変更してください。
水分と服薬の準備をする
飲み物を持参し、長めに歩く場合は必要な薬も準備します。ただし、運動に合わせて服薬時間や量を自己判断で変更せず、必要に応じて主治医へ相談しましょう。
明るい時間帯に歩く
暗い時間帯は段差や障害物を見つけにくく、転倒や交通事故の危険が高まります。できるだけ明るく、気温が安定した時間帯に歩きましょう。
一人で不安な場合は家族と一緒に歩く
ふらつきやすくみ足がある場合は、家族や知人と一緒に歩くと安心です。携帯電話や連絡先を持ち、体調が変化したときに対応できるようにします。
帰り道の体力も残しておく
行きに体力を使い切ると、帰り道に歩幅が小さくなり、転倒リスクが高まります。「もう少し歩ける」と感じる段階で引き返し、余裕を持って帰宅しましょう。
すくみ足が出たときの対処法
パーキンソン病のすくみ足は、歩き始め、方向転換、狭い場所などで足が床に貼り付いたように出にくくなる症状です。ウォーキング中にすくみ足が出たときは、焦って前へ進もうとせず、いったん動きを止めてから立て直すことが大切です。
無理に足を前へ出そうとしない
足が止まった状態で何度も一歩を出そうとすると、上半身だけが前へ倒れて転倒する危険があります。まずはその場で止まり、足を無理に動かそうとしないようにしましょう。
一度姿勢を整えて力を抜く
視線を上げ、身体を起こして深呼吸します。肩や脚の余計な力を抜き、両足の裏が地面についていることを確認してから次の動作へ移ります。
声や数でリズムをつくる
「1、2」「せーの」などと声に出したり、頭の中で一定のリズムを数えたりすると、一歩を出しやすくなる場合があります。自分が動きやすい合図を普段から練習しておくことも有効です。
床の線や目印をまたぐ
道路の線やタイルの境目などを目標にして、「線をまたぐ」ように足を出します。線がない場合は、目の前に線があると想像する方法もあります。視覚的な合図は、すくみ足への対処として紹介されています。
左右への重心移動から一歩を出す
その場で身体を左右へゆっくり揺らし、片脚から反対側の脚へ体重を移します。体重が抜けた側の足から、少し大きな一歩を出しましょう。
方向転換は小さく回らない
その場で細かく回ると、すくみ足や転倒が起こりやすくなります。急に方向を変えず、大きな弧を描くように数歩かけて回りましょう。すくみ足が頻繁に起こる場合は、主治医や理学療法士に相談し、自分に合った対処法を練習してください。
ウォーキング前に行いたい準備運動
パーキンソン病の方が安全にウォーキングを始めるには、いきなり速く歩かず、準備運動で身体を少しずつ動かすことが大切です。安定した場所で、痛みやふらつきのない範囲で行いましょう。
深呼吸して身体の力を抜く
安定した姿勢で鼻から息を吸い、口からゆっくり吐きます。息を吐きながら肩を下げ、首や腕、脚の余計な力を抜きましょう。呼吸を止めずに動くことがポイントです。
胸郭と体幹を左右に回す
椅子に座るか、足を肩幅に開いて立ち、胸を左右へゆっくり向けます。腰だけを無理にひねらず、目線と胸を一緒に動かします。体幹の回旋は、歩行中の腕振りや身体の連動にも関係します。
肩甲骨と腕を大きく動かす
肩を前後に回した後、腕を交互に前後へ振ります。痛みのない範囲で少し大きく動かし、歩行中の腕振りを引き出します。肩に力が入る場合は、振り幅を小さくしてください。
左右への重心移動を行う
足を肩幅に開き、右足と左足へ交互に体重を移します。上半身だけを傾けず、足裏で地面を感じながら行いましょう。壁や椅子の近くで行うと安全です。
その場で足踏みをする
姿勢を整え、その場でゆっくり足踏みをします。「1、2」と数えながら、足を普段より少し高く上げることを意識します。ふらつく場合は手すりなどにつかまりましょう。
最初の数分はゆっくり歩く
準備運動後も、すぐに通常の速度で歩かず、最初の数分は短い歩幅でゆっくり進みます。身体が動きやすくなってから歩幅や速度を少しずつ調整してください。
ノルディックウォーキングやポール歩行は有効?

ノルディックウォーキングは、左右のポールを使って歩く運動です。パーキンソン病の方を対象とした研究では、通常の歩行と比べて、歩行速度や歩幅、バランス、運動耐容能などに良い変化をもたらす可能性が報告されています。ただし、研究の質にはばらつきがあり、すべての方に同じ効果が得られるとは限りません。
ノルディックウォーキングの特徴
専用のウォーキングポールを左右交互に地面へつきながら歩きます。脚だけでなく腕や体幹も使うため、通常のウォーキングより全身運動になりやすい点が特徴です。
腕振りや姿勢を意識しやすい
ポールを後方へ押す動作により、腕振りや体幹の回旋を意識しやすくなります。前かがみになりすぎず、目線を上げて歩くきっかけにもなります。
ポールがあっても転倒を完全には防げない
ウォーキングポールは杖とは目的や使い方が異なります。ポールを持っていても、段差や方向転換、ふらつきによる転倒を完全に防げるわけではありません。転倒リスクがある方は、まず歩行能力やバランスの評価が必要です。
すくみ足が強い方には合わない場合もある
ポール操作と歩行を同時に行うため、すくみ足やふらつきが強い方では、動作が複雑になって歩きにくくなる場合があります。一方で、一定のリズムをつくることで歩きやすくなる方もいるため、適性には個人差があります。
専門家から使い方を教わることが大切
ポールの長さ、握り方、地面へつく位置が合っていないと、姿勢が崩れたり転倒につながったりする可能性があります。初めて行う場合は、理学療法士やノルディックウォーキングの指導者に確認してもらい、安全な場所で練習してから屋外で行いましょう。
ウォーキングマシンでも運動できる?
ウォーキングマシン(トレッドミル)は、天候に左右されず歩けるため、パーキンソン病の方にとっても運動の選択肢の一つです。一方で、屋外歩行とは環境が異なり、ベルトが自動で動くため、症状によっては転倒の危険が高まることがあります。安全に利用するには、自分の歩行能力に合った速度や方法を選ぶことが大切です。
天候に左右されず歩ける
雨や猛暑、寒い日でも室内で運動できることは大きなメリットです。外出が難しい日でもウォーキングを継続しやすく、運動習慣を維持するのに役立ちます。
速度を一定に保ちやすい
ウォーキングマシンは一定の速度で歩けるため、歩行リズムを保ちやすい特徴があります。速度をゆっくり設定すれば、自分の体力や症状に合わせて無理なく運動できます。
ベルトの動きについていけない場合がある
トレッドミルでは、床ではなくベルトが後方へ動くため、すくみ足や動作緩慢がある方では足が追いつかず、バランスを崩すことがあります。慣れるまでは低速から始め、無理に速度を上げないようにしましょう。
NEW乗り降りや速度変更時に注意する
転倒は、歩いている最中だけでなく、乗り降りや速度を変えるときにも起こりやすくなります。ベルトが完全に止まってから乗り降りし、速度は少しずつ調整してください。不安がある場合は、家族やスタッフの見守りのもとで利用すると安心です。
手すりに頼りすぎない
手すりは転倒予防のために必要ですが、常に強く握ったまま歩くと、本来の歩行姿勢や腕振りが行いにくくなります。安全を最優先にしながら、歩行が安定している場合は必要最小限の支持にとどめることが理想です。なお、ふらつきや転倒歴がある方は、屋外歩行やウォーキングマシンの開始前に主治医や理学療法士へ相談することをおすすめします。
ウォーキングを中止して相談した方がよいサイン
パーキンソン病の方が安全にウォーキングを続けるには、身体の変化を見逃さないことが大切です。次の症状がある場合は無理に歩かず、主治医や理学療法士へ相談しましょう。
転倒やふらつきが増えている
最近転ぶことが増えた、まっすぐ歩きにくい場合は、転倒リスクが高まっています。一人での屋外歩行を控え、歩行補助具や運動方法を専門家に確認してもらいましょう。
歩行中に急に足が止まる
すくみ足が頻繁に起こる場合は、無理にウォーキングを続けると転倒につながる可能性があります。起こる場所や時間、薬の効き方を記録して相談すると役立ちます。
めまい・立ちくらみがある
パーキンソン病では、起立性低血圧によってめまい、立ちくらみ、失神などが起こることがあります。症状が出たら座るか横になり、繰り返す場合は主治医へ相談してください。
胸痛や強い息苦しさがある
胸の痛みや強い息苦しさがある場合は、直ちにウォーキングを中止します。症状が強い、治まらない、冷や汗や吐き気を伴う場合は、救急要請を検討してください。
足や腰の痛みが強くなる
歩くほど足、膝、股関節、腰の痛みが増す場合は、運動量や歩き方が合っていない可能性があります。痛みを我慢して続けず、整形外科やリハビリ専門職へ相談しましょう。
翌日まで強い疲労が残る
翌日まで強い疲労やこわばりが続く場合は、歩く時間や距離が多すぎる可能性があります。時間を短くする、休憩を増やすなどの調整が必要です。疲労はパーキンソン病でみられる非運動症状の一つでもあります。
家族から歩行を心配されている
本人が気づきにくい歩幅やバランスの変化を、家族が先に感じることもあります。周囲から転倒や歩き方を心配された場合は、その意見を受け止め、専門家による歩行評価を受けましょう。
パーキンソン病とウォーキングに関するよくある質問
ウォーキングだけでパーキンソン病が治るわけではありません。ただし、運動を継続することは、歩行能力や持久力、筋力、バランスなどの維持・改善に役立つ可能性があります。ウォーキングは、運動療法の選択肢の一つとして取り入れましょう。
必ずしも毎日歩く必要はありません。体調や疲労に合わせて週に数回から始め、無理なく続けることが大切です。体調が悪い日は休むか、室内での運動へ変更しましょう。
すべての方に共通する歩数の目安はありません。歩数だけを追うのではなく、歩幅や姿勢、ふらつき、運動後の疲労も確認してください。まずは5~10分程度の短時間から始める方法が安全です。
速く歩けばよいとは限りません。会話ができる程度の強さを目安にし、姿勢や歩幅を保って安全に止まれる速度を選びます。速くなることで小刻み歩行やふらつきが強まる場合は、速度を落としましょう。
杖を使って歩くことは可能ですが、杖の種類や高さ、使い方が身体に合っていることが重要です。杖を持つことで歩きにくくなる場合もあるため、初めて使うときは理学療法士などに確認してもらいましょう。
すくみ足が軽く、安全に対処できる場合は、コースや付き添いなどを調整して歩けることがあります。ただし、すくみ足は転倒リスクを高めるため、頻繁に起こる場合は一人での屋外歩行を避け、主治医や理学療法士へ相談してください。
室内での足踏みも、脚を動かして活動量を確保する運動になります。天候が悪い日や外出が難しい日に取り入れられます。安定した場所で行い、ふらつく場合は手すりや椅子を利用してください。
まとめ
パーキンソン病でもウォーキングを取り入れられる場合がある
パーキンソン病の方にとって、ウォーキングは身体活動量や持久力を保ち、外出や気分転換のきっかけにもなる運動です。症状や体力、安全面に配慮すれば、日常生活の中に取り入れられる場合があります。
歩数よりも安全性と歩き方の質が大切
「1日○歩」と歩数だけを目標にすると、疲労や小刻み歩行が強くなっても無理をしてしまうことがあります。目線、歩幅、腕振り、リズム、ふらつきの有無などを確認し、安定して歩けることを優先しましょう。
症状に合わせて時間・速度・環境を調整する
まずは5~10分程度の短時間から始め、会話ができる程度の速度で歩きます。平らで歩き慣れたコースを選び、薬が効いているオン時間や天候、その日の疲労に合わせて調整することが大切です。途中で休憩したり、屋外が難しい日は室内運動へ変更したりしても構いません。
不安がある場合は専門家に相談する
転倒やふらつき、すくみ足、めまい、痛みが増えている場合は、無理にウォーキングを続けないでください。主治医や理学療法士に相談し、歩行補助具やコース、運動量が現在の身体に合っているか確認しましょう。
パーキンソン病だから毎日たくさん歩かなければならないわけではありません。歩数や速さにこだわるよりも、現在の身体に合った方法で、安全に歩く習慣を続けることが大切です。
参考文献・参考資料
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有酸素運動、歩行訓練、バランス練習、筋力トレーニングなど、パーキンソン病に対する理学療法の推奨をまとめた臨床実践ガイドラインです。(PubMed) - Domingos J, et al. The European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease: Implications for Neurologists.
Journal of Parkinson’s Disease. 2018;8(4):499–502.
パーキンソン病における歩行、バランス、移乗などへの理学療法と、専門家へ相談する目安を示しています。(PubMed) - Ernst M, et al. Physical exercise for people with Parkinson’s disease: a systematic review and network meta-analysis.
Cochrane Database of Systematic Reviews. 2023;1:CD013856.
パーキンソン病に対する有酸素運動、歩行運動、筋力・バランス運動などの効果を総合的に検討したレビューです。(PubMed Central (PMC)) - Cugusi L, et al. Nordic Walking for the Management of People With Parkinson Disease: A Systematic Review.
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パーキンソン病の方に対するノルディックウォーキングの実施可能性や、歩行・身体機能への影響を検討しています。(PubMed) - Mehrholz J, et al. Treadmill training for patients with Parkinson’s disease.
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ウォーキングマシンを使った歩行練習について、歩行速度や歩幅、安全性などを検討したレビューです。(Cochrane)








