パーキンソン病ではどんなデイサービスを選ぶ?リハビリ内容と選び方を理学療法士が解説

パーキンソン病では、症状の進行や生活状況に応じて、デイサービスを利用しながら運動やリハビリを続けることがあります。
しかし、デイサービスには「リハビリ特化型」「半日型」「1日型」などさまざまな施設があり、「パーキンソン病なら、どのようなデイサービスを選べばよいのだろう?」と迷う方も少なくありません。
大切なのは、単に「リハビリができる」「パーキンソン病に対応している」という理由だけで決めるのではなく、現在の症状や生活上の困りごと、デイサービスを利用する目的に合っているかを確認することです。
例えば、歩行やバランス能力を維持したい方と、入浴や日中の見守りも必要な方では、適したデイサービスは異なります。また、理学療法士や作業療法士などの専門職がどの程度関わるのか、身体機能や生活状況を定期的に評価しているのかも確認したいポイントです。
この記事では、理学療法士の視点から、パーキンソン病の方がデイサービスを選ぶ際のポイントやリハビリ・機能訓練の内容、デイケアとの違いについて分かりやすく解説します。
ご本人やご家族が、「今の自分にはどのようなデイサービスが合っているのか」を考える際の参考にしてください。
パーキンソン病ではデイサービスでどんなリハビリを行う?
デイサービス(通所介護)では、日常生活上の支援に加えて、利用者の状態に応じた機能訓練などが提供されます。
ただし、すべてのデイサービスで理学療法士や作業療法士による専門的なリハビリテーションを受けられるわけではありません。全国のデイサービスにおける理学療法士・作業療法士の配置については、約3割程度となっています。
そのため、「リハビリがあるか」だけでなく、誰が身体の状態を評価し、どのような運動や機能訓練を行っているのかを確認することが大切です。
歩行やバランス能力を維持するための運動
パーキンソン病では、歩幅が小さくなる、歩き始めに足が出にくくなる「すくみ足」、方向転換が難しくなる、バランスを崩しやすくなるなどの変化がみられることがあります。
そのため、施設によっては歩行練習、立位でのバランス練習、方向転換、段差昇降、椅子からの立ち座りなどを行います。
理学療法士の視点では、「どのくらい歩けるか」だけでなく、歩き始め・方向転換・狭い場所・停止するときなど、どの場面で不安定になるのかを見ることが重要です。
筋力や柔軟性を保つための運動
パーキンソン病では活動量の低下に伴って筋力が低下したり、身体のこわばりによって動かせる範囲が小さくなったりすることがあります。
そのため、立ち座り、スクワット、かかと上げなどの筋力トレーニングや、胸・背中・股関節・脚などのストレッチが行われることがあります。
パーキンソン病の運動では、有酸素運動だけでなく、筋力、柔軟性、バランス・敏捷性などを組み合わせることが推奨されています。

日常生活動作を続けるための練習
機能訓練の目的は、筋力や歩行能力の数値を高めることだけではありません。
例えば、
- 椅子から一人で立ち上がる
- トイレまで安全に歩く
- ベッドや椅子へ移る
- 段差を昇り降りする
- 着替えを続ける
など、実際の生活で必要な動作を維持することも重要です。
理学療法士としては、「握力が何kgある」「何m歩ける」という身体機能だけでなく、その能力を使って自宅で何ができているのかまで確認することが大切だと考えます。
集団体操やレクリエーションも大切な活動
デイサービスでは、個別の機能訓練だけでなく、集団体操やレクリエーションが行われることもあります。
専門職による個別リハビリと同じものではありませんが、身体を動かす機会を増やしたり、人と交流したり、外出する習慣を維持したりする意味があります。
一方、すくみ足や転倒など具体的な困りごとがある場合には、集団体操だけでなく、本人の状態を評価したうえで必要な機能訓練が行われているかも確認しましょう。
パーキンソン病の方が利用できるデイサービスの種類

「1日型」「リハビリ特化型」「パーキンソン病特化型」などは、介護保険制度上の正式なサービス名称ではありません。
実際には通所介護や地域密着型通所介護などとして指定を受けた事業所が、それぞれ特色あるサービスを提供しています。
そのため、名称だけで判断せず、利用時間、機能訓練の内容、専門職の配置、入浴・食事・送迎などのサービス内容を確認しましょう。通所介護は、自宅での生活の維持、心身機能の維持、社会的孤立の解消、家族の介護負担軽減などを目的とするサービスです。
一般的な1日型デイサービス
1日型のデイサービスでは、食事や入浴、レクリエーション、機能訓練などを組み合わせながら日中を過ごす施設が多くあります。
「一人で入浴することが難しくなってきた」「日中の見守りも必要」「家族の介護負担を減らしたい」といった場合には、運動だけでなく生活全体を支えてくれる1日型が適していることがあります。
リハビリ特化型・半日型デイサービス
「リハビリ特化型」「機能訓練型」などと呼ばれる施設では、比較的短い利用時間で、マシントレーニングや歩行練習、体操などを中心に行っていることがあります。
比較的身の回りのことが自立していて、運動する機会を増やしたい、歩行や体力を維持したいという方には選択肢になります。
一方、入浴や食事を提供していない施設もあるため、生活面で必要なサービスについても確認が必要です。
パーキンソン病に特化したデイサービス
パーキンソン病の方を積極的に受け入れたり、パーキンソン病に合わせた運動プログラムを提供したりしている施設もあります。
すくみ足、動作緩慢、姿勢・バランスの問題、薬の効き方によるON・OFFなど、病気の特徴をスタッフが理解していることはメリットです。
ただし、「パーキンソン病専門」という名称だけで施設を決めるのではなく、実際に誰が評価し、どのような支援を行っているのかまで確認しましょう。
デイサービスとデイケア(通所リハビリ)の違い
デイサービス(通所介護)とデイケア(通所リハビリテーション)は、介護保険上、異なるサービスです。
デイサービスは日常生活上の支援や機能訓練などを通して在宅生活を支えるサービスです。
一方、デイケアは、介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、心身機能の維持・回復や日常生活の自立に向けたリハビリテーションを行います。
「運動をしたいからデイサービス」「専門的なリハビリだから必ずデイケア」と単純に決めるのではなく、必要としている支援を考えて選ぶことが大切です。
パーキンソン病ではどんなデイサービスを選ぶべき?

デイサービスを選ぶ際には、次の7つのポイントを確認すると比較しやすくなります。
① デイサービスを利用する目的を明確にする
まず、「デイサービスで何をしたいのか」を整理しましょう。
例えば、
- 歩行やバランス能力を維持したい
- 運動習慣をつくりたい
- 入浴を手伝ってほしい
- 外出や交流の機会を増やしたい
- 日中を安全に過ごしたい
- 家族の介護負担を軽減したい
などがあります。
何ができないかだけでなく、これからどのような生活を続けたいのかを考えることが、施設選びの出発点になります。
② パーキンソン病の症状を理解しているか確認する
パーキンソン病では、すくみ足、動作緩慢、姿勢やバランスの問題、ON・OFFなど、特徴的な症状がみられることがあります。
スタッフがこうした特徴を理解し、本人の動きにくさや体調の変化に合わせて対応してくれるかを確認しましょう。

③ 理学療法士・作業療法士などの専門職がどのように関わるか
デイサービスの機能訓練指導員には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師などが含まれます。
そのため、「機能訓練指導員がいる」だけではなく、
- 誰が身体の状態を評価するのか
- PT・OTなどはどのくらい関わるのか
- 歩行や転倒について相談できるのか
まで確認するとよいでしょう。
④ 一人ひとりに合わせた運動や機能訓練が行われているか
パーキンソン病の症状は一人ひとり異なります。
すくみ足が目立つ方、バランスを崩しやすい方、身体のこわばりが強い方では、必要な運動も異なります。
全員が同じマシンや体操をするだけではなく、本人の症状や目標に応じて内容を調整してもらえるかを確認しましょう。ここが一番大切です。
⑤ 身体機能や生活状況を定期的に評価しているか
AXIS-PDとしては、デイサービス選びで特に確認してほしいのが「定期的な評価」です。
理想的なのは、
評価 → 目標設定 → 運動・機能訓練 → 再評価 → 内容の見直し
という流れです。
介護保険の個別機能訓練加算では、該当する事業所において、計画の進捗状況などを3か月ごとに1回以上評価し、本人または家族へ説明したうえで、必要に応じて訓練内容を見直すことが定められています。
単に測定するだけでなく、評価結果が実際の運動や生活上の目標につながっているかを確認しましょう。
⑥ 転倒や体調変化への安全管理ができているか
パーキンソン病では、すくみ足やバランス低下によって転倒しやすくなったり、薬の効き方や疲労などによって動きやすさが変わったりすることがあります。
運動中の見守り、転倒時の対応、体調確認、運動量の調整、家族やケアマネジャーとの情報共有なども確認しておくとよいでしょう。
⑦ 無理なく継続して通える環境か
どれだけ運動内容が充実していても、本人が通い続けられなければ十分に活用できません。
送迎範囲、利用時間、施設の雰囲気、スタッフとの相性、入浴や食事の有無なども重要です。
パーキンソン病では運動を継続することが大切なため、専門性だけでなく「無理なく続けられるか」も施設選びの重要な条件です。
「パーキンソン病専門」のデイサービスでなければいけない?
結論からいえば、パーキンソン病専門のデイサービスでなければならないわけではありません。
パーキンソン病専門施設にはメリットがある
専門施設では、すくみ足、動作緩慢、姿勢・バランス障害、ON・OFFなどの特徴を理解したスタッフがいることや、パーキンソン病に合わせた運動プログラムを提供していることがメリットになります。
専門施設でなくても適したデイサービスはある
一般的なデイサービスでも、
- 本人に合わせた機能訓練を行っている
- 歩行やバランスを丁寧に評価している
- 転倒予防や安全管理に配慮している
- 入浴や食事など必要な生活支援が受けられる
- 本人が楽しみながら継続できる
といった施設であれば、良い選択肢になることがあります。
大切なのは病名よりも「今の困りごと」に合っていること
理学療法士の視点では、施設を選ぶ際に最も大切なのは、パーキンソン病という病名だけで判断するのではなく、今の生活で何に困っていて、何を維持したいのかを整理することです。
「パーキンソン病専門」は一つの判断材料ですが、それだけが正解ではありません。
症状や生活状況によって適したデイサービスは変わる

同じパーキンソン病でも、必要なサービスは身体機能や生活状況によって異なります。
比較的自立していて運動を続けたい場合
身の回りのことが比較的自立していて、「今の体力や歩行能力を維持したい」という方には、リハビリ特化型や短時間型のデイサービスが選択肢になります。また、パーキンソン病専門の自費運動リハビリ施設も1つの選択肢となります。
歩行、筋力、柔軟性、バランスなどを継続的に運動できる環境かを確認しましょう。
歩行やバランス低下が目立ってきた場合
すくみ足、方向転換の難しさ、転倒などが増えてきた場合には、運動量だけでなく、歩行やバランスを評価し、その結果に合わせて訓練内容を調整してくれるかを重視します。
入浴や日中の見守りも必要な場合
一人での入浴が難しい、日中一人で過ごすことが心配、家族の介護負担が増えてきたという場合には、生活支援を含めた1日型デイサービスが適していることがあります。
この場合は、「どれだけ運動できるか」だけでなく、本人が安全に過ごせるか、家族を含めた生活全体を支えられるかを見ることが重要です。
医療的な管理や専門的なリハビリが必要な場合
より専門的なリハビリテーションが必要な場合には、デイケア(通所リハビリ)を検討することがあります。
また、外出が難しい、医療的な管理も必要といった場合には、訪問リハビリや訪問看護などを組み合わせることも考えられます。
症状の重さだけで機械的に決めるのではなく、その時点で必要な支援に合わせてサービスを選ぶことが大切です。
デイサービス見学で確認しておきたいポイント
ホームページやパンフレットだけでは、実際の支援内容まで分からないことがあります。
利用を決める前にできるだけ見学し、次の点を確認してみましょう。
どの職種がリハビリや運動を担当しているか
「機能訓練指導員がいる」という説明だけでなく、どの職種が実際に関わっているのかを確認します。
例えば、
「歩行やバランスの評価は誰が行いますか?」
「理学療法士や作業療法士はどの程度関わりますか?」
と具体的に尋ねると分かりやすいので、是非このように問い合わせしてみることをおすすめします。
個別リハビリの時間や内容はどの程度か
デイサービスでは、一般に「一人につき個別リハビリ○分」と全国一律で決められているわけではありません。
制度上は「個別機能訓練」として行われるものもあり、提供方法や内容は施設によって異なります。
- 個別に対応してもらえる時間
- 集団体操との割合
- 歩行練習の有無
- マシントレーニング以外の内容
- 症状に合わせた変更が可能か
などを確認しましょう。
身体機能の評価はどのくらいの頻度で行うか
「身体機能はどのくらいの頻度で評価しますか?」
「評価結果を本人や家族にも説明してもらえますか?」
と確認してみましょう。
特に、評価した結果を次の運動内容や生活目標に反映しているかが重要です。
パーキンソン病の利用者を受け入れた経験があるか
専門施設でなくても、パーキンソン病の方を継続的に受け入れている施設もあります。
「パーキンソン病の利用者はいますか?」
「すくみ足やON・OFFにはどのように対応していますか?」
などを確認してみてもよいでしょう。
受け入れ人数だけで判断するのではなく、一人ひとりの症状を理解しようとしているかを見ることが重要です。
送迎・入浴・食事など生活面のサービスも確認する
施設によって、送迎、入浴、食事、個別機能訓練などの実施状況は異なります。介護サービス情報公表システムでも事業所ごとのサービス内容を比較できます。
運動だけでなく、
- 自宅まで送迎してもらえるか
- 入浴介助があるか
- 食事があるか
- 利用時間が体力に合っているか
なども確認しておきましょう。
デイサービスが合わない場合は他のリハビリサービスも検討する

パーキンソン病の運動やリハビリを続ける方法は、デイサービスだけではありません。
デイケア(通所リハビリ)
デイケア(通所リハビリテーション)は、介護老人保健施設、病院、診療所などに通い、心身機能の維持・回復や日常生活の自立を目的としたリハビリテーションを行う介護保険サービスです。
より専門的なリハビリが必要な場合には選択肢になります。
訪問リハビリ・訪問看護
外出が負担になってきた場合や、自宅での生活動作に具体的な困りごとがある場合には、訪問サービスが適することがあります。
訪問リハビリでは、自宅のベッド、トイレ、玄関、階段など、実際に生活している環境で動作を確認できることが大きな特徴です。
医療的な管理も必要な場合には、主治医やケアマネジャーと相談し、訪問看護などを検討することもあります。

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自費リハビリ・運動施設
比較的自立していて、
- 早い段階から運動習慣をつくりたい
- 個別に身体をみてもらいたい
- パーキンソン病に合わせた運動を続けたい
- 保険サービスとは別に運動量を確保したい
という場合には、自費リハビリや運動施設も選択肢になります。
ただし、サービス内容、料金、スタッフの資格などは施設によって異なります。
自費だから専門性が高いとは限らないため、担当者の資格や評価方法、運動内容を確認して選びましょう。
デイサービス選びに迷ったらケアマネジャーや専門職に相談する
どのサービスが自分に合っているのか迷った場合は、一人で決める必要はありません。
ケアマネジャーに希望や困りごとを具体的に伝える
ケアマネジャーへ相談するときは、「リハビリができるデイサービスを探しています」だけではなく、
- 最近転びやすくなった
- 運動する機会がない
- 入浴が心配
- 一人で過ごす時間が心配
- 家族の負担が増えている
など、具体的な困りごとを伝えることが重要です。
施設名から探すよりも、「何に困っているか」「何を続けたいか」を伝えることで、必要なサービスを検討しやすくなります。
必要に応じて主治医やリハビリ専門職にも相談する
歩行やバランスの低下、すくみ足、転倒などが目立つ場合には、主治医や理学療法士・作業療法士などにも相談するとよいでしょう。
また、急に動きにくくなった、転倒が急に増えた、薬の効き方が大きく変わったといった場合には、単にデイサービスを変更するのではなく、主治医へ相談することも重要です。
ケアマネジャー、主治医、リハビリ専門職それぞれの視点を組み合わせながら、必要なサービスを考えていきましょう。
まとめ|パーキンソン病では「何を目的に通うか」でデイサービスを選ぼう
パーキンソン病専門かどうかだけで判断しない
パーキンソン病に特化したデイサービスにはメリットがありますが、専門施設でなければならないわけではありません。
大切なのは、パーキンソン病への理解があり、必要な運動や生活支援、安全管理を受けられるかどうかです。
症状・生活・目的に合った施設を選ぶことが大切
歩行や運動を続けたい方、入浴や見守りが必要な方、専門的なリハビリを受けたい方では、適したサービスは異なります。
現在の症状、生活上の困りごと、本人や家族の希望に合った施設を選ぶことが、無理なく継続するためのポイントです。
迷った場合は、ケアマネジャーや主治医、理学療法士などに相談しながら、自分に合ったサービスを検討しましょう。
参考文献・参考資料
- 日本神経学会|パーキンソン病診療ガイドライン2018
パーキンソン病の治療やリハビリテーション、非薬物療法についての国内ガイドライン。 - 厚生労働省|厚生労働大臣が定める基準―通所介護費における個別機能訓練加算
- 厚生労働省|介護サービス情報公表システム―通所介護(デイサービス)
- 厚生労働省|介護サービス情報公表システム―通所リハビリテーション(デイケア)
- Parkinson's Foundation / American College of Sports Medicine|Parkinson’s Disease Exercise Recommendations(2026年更新)
有酸素運動、筋力、ストレッチ、バランス・敏捷性など、パーキンソン病の運動についての最新推奨。






