パーキンソン病は早期からリハビリが必要?ヤール1・2から運動を始める重要性を理学療法士が解説

パーキンソン病と診断されたものの、「まだ普通に歩けるし、リハビリを始めるのは早いのでは?」と感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、パーキンソン病のリハビリは、動けなくなってから始めるものではありません。近年では、診断された早い段階から運動やリハビリに取り組み、身体機能や活動性を保ちながら、運動を継続する習慣をつくっていくことが重要と考えられています。
特に、Hoehn & Yahr(ヤール)分類1・2のように、まだ比較的動きやすい時期は、ウォーキングや筋力トレーニング、バランス運動など、さまざまな運動に取り組みやすい時期でもあります。
私たちAXIS-PD(アクシス-ピーディー)では、「困ってからリハビリをする」のではなく、「まだ動けるうちから、自分の身体を知り、運動を生活の一部にしていくこと」を大切にしています。
この記事では、パーキンソン病の早期とはどのような時期なのか、なぜヤール1・2の段階から運動を始めることが大切なのか、そしてどのようなリハビリや運動に取り組めばよいのかを、理学療法士の視点からわかりやすく解説します。
パーキンソン病の「早期」とは?

パーキンソン病の「早期」には、医学的にすべての場面で共通する明確な定義があるわけではありません。研究では、診断からの期間や症状の程度、Hoehn & Yahr分類などを組み合わせて「早期」とすることがあります。
この記事では、特にヤール1・2程度の、まだ日常生活で比較的動きやすい段階に焦点を当てます。
早期と初期症状は必ずしも同じ意味ではない
「早期」と「初期症状」は似ていますが、少し意味が異なります。
初期症状とは、手足の震え、動作の遅さ、身体のこわばりなど、病気の比較的早い段階に現れる症状を指す言葉です。一方、この記事でいう「早期」は、診断後の病気の段階や身体機能の状態に注目した表現として使用します。
そのため、「症状に気づいた時期」と「ヤール分類でみた病期」が必ず一致するわけではありません。
また、ヤール分類は主に運動症状の進行度を大まかに把握するための尺度であり、非運動症状を含めた病気全体の状態を表すものではありません。
ヤール1は片側に症状がみられる段階
ヤール1では、基本的に身体の片側に運動症状がみられる段階です。
たとえば、
- 片方の腕を振りにくい
- 片手の動作が遅くなる
- 片側の手足がこわばる
- 左右で動き方が少し違う
といった変化がみられることがあります。
一方で、歩行や仕事、家事、趣味などを大きな不自由なく続けている方も少なくありません。
理学療法士として早期の方をみるときに大切なのは、「できる・できない」だけではありません。左右の動きの差、歩幅、腕振り、体幹の動き、筋力や体力など、これから比較していくための現在の状態を把握しておくことも重要です。
ヤール2は両側に症状がみられる段階
ヤール2になると、症状が身体の両側にみられるようになりますが、明らかな姿勢反射障害はない段階です。
以前は片側だけだった動作の遅さやこわばりが反対側にもみられたり、姿勢、歩行、体幹の動きなどに少しずつ変化を感じたりすることがあります。
それでも、「まだ普通に生活できているから、リハビリは必要ない」と考える方もいるでしょう。
しかし、AXIS-PDでは、「できなくなってから身体を動かす」のではなく、まだ動ける段階だからこそ運動に取り組むことが大切だと考えています。
この記事では主にヤール1・2の時期を「早期」として考える
この記事では、わかりやすく説明するために、主にヤール1・2程度の時期を「早期」として話を進めます。ただし、「ヤール1・2=すべての人が同じ状態」という意味ではありません。
同じヤール1・2でも、年齢、症状、体力、仕事、生活環境、運動経験などは一人ひとり異なります。
AXIS-PD代表の井上直樹(理学療法士)が特に大切にしているのは、ヤール1・2のような「まだ動ける時期」を、ただ様子を見る期間にしないことです。
症状が軽いうちに自分の身体を知り、今の能力を生かして運動を始め、それを生活の習慣にしていく。これが、パーキンソン病と長く付き合っていくうえで重要な準備になると考えています。
パーキンソン病は早期からリハビリを始めた方がいい?
結論からいえば、パーキンソン病では症状が軽い早期から、運動やリハビリに取り組むことが大切です。
「まだ普通に歩けるから必要ない」と思うかもしれません。しかし、早期のリハビリは、できなくなった動作を取り戻すためだけに行うものではありません。今ある身体機能を生かしながら、運動を続けられる身体と生活習慣をつくっていくことも大切な目的です。
症状が軽い時期から運動を始めることが推奨されている
パーキンソン病に対するリハビリでは、有酸素運動、筋力トレーニング、バランス練習、歩行練習などが推奨されています。
近年では、診断された時点から理学療法士などにつなぎ、早い段階から運動を治療の一部として取り入れることの重要性も示されています。
「できなくなってから」始めるのがリハビリではない
リハビリというと、「歩けなくなった」「転びやすくなった」など、困りごとが増えてから始めるイメージがあるかもしれません。
しかし理学療法士の立場としては、問題が大きくなる前から身体の状態を把握し、運動や活動を続けることも重要なリハビリだと考えています。
AXIS-PDでは、「できなくなってから取り戻す」だけではなく、「まだできる時期に、その力を生かす」ことを大切にしています。
薬物療法と運動・リハビリは役割が異なる
パーキンソン病では薬物療法が治療の重要な柱ですが、薬と運動・リハビリは同じ役割ではありません。
薬物療法で症状を調整しながら、運動・リハビリによって体力、筋力、柔軟性、バランス、歩行などの身体機能や日常の活動に働きかけることが重要です。
薬物療法と運動のどちらか一方を選ぶのではなく、それぞれの役割を生かしながら組み合わせていくことが基本になります。
早期から長く続けられる運動習慣をつくることが大切
AXIS-PDが大切にしているのは、「どんな運動をするか」だけではなく、「運動を続けられる生活をどうつくるか」という視点です。
パーキンソン病とは長く付き合っていくことになります。だからこそ、ヤール1・2のまだ動きやすい時期に、自分に合った運動を見つけ、無理なく続ける習慣をつくっておくことが重要です。
早期リハビリの目標は、今困っていることだけを改善することではありません。これからも自分らしく動き続けるための土台を、早いうちからつくっていくことです。
早期のパーキンソン病では身体にどのような変化が起こる?
パーキンソン病の早期では、日常生活を大きな不自由なく送れていても、身体には少しずつ変化が現れていることがあります。
特に理学療法士が注目するのは、動きの大きさや速さ、左右差、腕振り、体幹の動き、姿勢、歩き方、そして普段どのくらい身体を動かしているかです。これらを早い段階から定期的にチェックし、都度対応策を考え、実践しておくこと。これがとても大切なのです。
動作が少しずつ小さくなる・遅くなる
パーキンソン病の代表的な運動症状のひとつが動作緩慢です。
単純に動きが遅くなるだけではなく、繰り返して動いているうちに動作の速さや大きさが低下することがあります。
たとえば、歩幅が小さくなる、文字が小さくなる、着替えに時間がかかるといった変化につながります。
理学療法では、「できるかどうか」だけでなく、どのくらい大きく、速く、滑らかに動けているかまで確認します。
NEW左右で動きに差がみられることがある
パーキンソン病は、左右どちらか一方から症状が始まることが多い病気です。
たとえば、片側だけ腕が振りにくい、片方の脚だけ歩幅が小さい、片手の動作だけ遅いといった変化があります。
理学療法士としては、こうした小さな左右差を早いうちから把握しておくことが大切だと考えます。
腕振りや体幹の動きが小さくなることがある
歩いているときの腕振りが小さくなることも、早期からみられる変化のひとつです。
また、歩行は脚だけで行うものではありません。腕や肩、胸郭、骨盤などが連動して動くことで、スムーズに身体を前へ運んでいます。
そのためAXIS-PDでは、歩幅だけを見るのではなく、腕振りや体幹の回旋を含めた「全身の動き」を見ることを大切にしています。
姿勢や歩き方に変化が現れることがある
早期では大きな歩行障害がなくても、歩幅が少し小さくなる、腕振りが減る、身体の動きが硬くなるなど、歩き方に小さな変化が現れることがあります。
ただし、姿勢や歩行の変化には加齢や整形外科的な問題なども関係します。ひとつの特徴だけで判断せず、症状や身体機能を総合的にみることが重要です。
症状が軽くても身体活動量が低下することがある
診断を受けたことで外出を控えたり、「転んだら怖い」と活動を減らしたりすると、まだ身体は十分動けるのに、日常生活で身体を動かす量が減ってしまうことがあります。
私が早期リハビリで特に避けたいと考えているのが、「病気になったから動かなくなる」という流れです。このような状況になると、フレイルやサルコペニアといった廃用症候群を引き起こすことがあります。
症状が軽い時期だからこそ、今できていることを続け、できる範囲で活動量を保ち、自分に合った運動を生活の中に取り入れていくことが大切です。
ヤール1・2の段階から運動する目的

ヤール1・2では、日常生活を比較的自立して送れる方が多いため、「今から運動する必要があるの?」と思うかもしれません。
しかし、この時期の運動は症状を改善することだけが目的ではありません。今ある筋力や体力、柔軟性、歩行能力などを生かしながら、将来に向けて“動ける土台”をつくることが大切です。
筋力や体力を保つ
パーキンソン病では、病気そのものの影響だけでなく、活動量が減ることで筋力や持久力が低下することがあります。
早期では比較的さまざまな運動に取り組みやすいため、低下してから鍛えるのではなく、今ある体力を使い続けるという考え方が重要です。
柔軟性や身体の大きな動きを保つ
パーキンソン病では、動作が小さくなったり、身体のこわばりによって体幹や手足を大きく動かしにくくなったりすることがあります。
腕を大きく振る、身体をひねる、大きく一歩を踏み出すなど、身体を十分な範囲で動かすことも意識しましょう。
姿勢・バランス・歩行能力を保つ
早期では転倒などの問題が目立たなくても、歩幅、腕振り、体幹の動きなどには変化が現れることがあります。
「転ぶようになってからバランス練習をする」のではなく、まだ安定して歩ける段階から姿勢や歩行に目を向けることが早期リハビリのポイントです。

運動不足による二次的な体力低下を防ぐ
「病気だから無理をしない方がいい」と活動を減らしてしまうと、筋力や持久力がさらに落ち、外出しにくくなるという悪循環につながることがあります。
病気による症状だけではなく、動かなくなることで起こる二次的な体力低下を防ぐことも重要です。
運動を生活の一部として習慣化する
AXIS-PDが、ヤール1・2の時期に最も大切にしたいと考えているのが、「運動を特別なものにしないこと」です。
歩く、身体を動かす、運動するという行動が普段の生活に組み込まれていることが重要です。
パーキンソン病とは長く付き合っていきます。だからこそ、まだ動ける早期に、自分に合った運動を見つけ、それを続けられる習慣をつくることが大切です。
ヤール1とヤール2ではリハビリの考え方は違う?
ヤール1とヤール2では症状の広がりが異なるため、リハビリで注目するポイントも少し変わります。
ただし、「ヤール1ならこの運動、ヤール2ならこの運動」と一律に決めるものではありません。
ヤール1では左右差を確認しながら全身を動かす
ヤール1では、片側の腕振り、歩幅、筋力、身体の回旋などに左右差がないか確認します。
ただし、症状がある側だけを動かせばよいわけではありません。ウォーキングや筋力トレーニングなども取り入れ、全身を大きく動かすことが大切です。
ヤール2では姿勢や歩行・体幹の動きにも目を向ける
ヤール2では症状が両側にみられるため、左右差だけでなく、姿勢、歩幅、腕振り、方向転換、体幹の回旋など、身体全体の動きにも目を向けます。
AXIS-PDでは、まだ歩けている時期だからこそ、歩行や姿勢の小さな変化に気づき、今の能力を十分に使うことを大切にしています。
ヤール分類だけで運動内容を決めるわけではない
同じヤール2でも、毎日仕事をしている人と運動習慣がほとんどない人では、必要な運動は異なります。
AXIS-PDが大切にしているのも、「病期を見るのではなく、病期を踏まえてその人を見る」という考え方です。
ヤール分類は現在地を知るひとつの目安です。そのうえで、今どれだけ動けるのか、何を続けたいのかを確認して運動内容を考えます。
パーキンソン病の早期に取り組みたい運動

パーキンソン病の早期では、ひとつの運動だけを行うのではなく、有酸素運動、筋力、バランス、柔軟性、姿勢、歩行などを組み合わせて取り組むことが大切です。
ウォーキングなどの有酸素運動
ウォーキング、自転車、水中運動などの有酸素運動は、全身持久力や歩行能力を保つために重要な運動です。
早期であれば、「リハビリのために歩く」と構えすぎず、散歩や通勤、買い物など普段の生活の中で歩く機会を増やすことから始めてもよいでしょう。
筋力トレーニング
スクワットや椅子からの立ち上がりなど、下肢や体幹を使う筋力トレーニングも大切です。
筋力は、立ち上がる、歩く、階段を上るなど、日常生活のさまざまな動作を支えています。
ただし、負荷が強ければよいわけではありません。年齢や運動経験、関節の状態などに合わせて調整します。

バランス運動
早期では転倒がなくても、将来を見据えてバランス能力に目を向けることが大切です。
支持する足を変える、重心を前後左右に移す、ステップを踏むなど、さまざまな方向へ身体をコントロールする練習があります。
ストレッチや姿勢を整える運動
胸を開く、背中や股関節を伸ばす、体幹を左右にひねるなど、普段使いにくくなりやすい方向へ身体を動かすことも重要です。
単に「筋肉を伸ばす」だけでなく、歩行や立ち上がりなど実際の動作につながる身体の動きを保つことを意識します。
大きく身体を動かす運動
パーキンソン病では、自分では普通に動いているつもりでも、実際には動作が小さくなっていることがあります。
腕を大きく振る、大きく一歩を踏み出す、身体全体を使って立ち上がるなど、意識して大きな動作を行う練習も取り入れます。
歩行や方向転換など実際の動作練習
リハビリでは、筋力や柔軟性を高めるだけでなく、実際の生活で使う動作を練習することも重要です。
たとえば、歩く、立ち上がる、方向転換する、階段を上る、障害物をまたぐといった動作です。リハビリで大切にしているのは、「リハビリのための運動」で終わらせず、その運動を実際の生活につなげることです。
自分で歩く、出かける、仕事をする、趣味を続ける。そうした生活を支えるために運動します。
運動はどのくらい行えばいい?
パーキンソン病の運動では、「1回何分やればよいか」だけでなく、1週間の中でどのように運動を組み合わせ、継続していくかを考えることが大切です。
Parkinson’s FoundationとAmerican College of Sports Medicine(ACSM)の運動推奨では、中〜高強度の運動を週150分程度行うことがひとつの目安として示されています。
ただし、すべての方が最初からこの量を行う必要はありません。
1回の運動だけではなく週単位で考える
ウォーキングを週3回、筋力トレーニングを週2回、そのほかの日にはストレッチやバランス運動を行うなど、週単位で無理なく組み合わせることがポイントです。
有酸素運動と筋トレなどを組み合わせる
パーキンソン病では、ウォーキングなどの有酸素運動だけでなく、筋力、バランス、柔軟性、歩行など複数の要素に取り組むことが推奨されています。
理学療法士としては、その人に不足している身体機能を確認しながら組み合わせることを大切にします。
強度は年齢や症状・体力に合わせる
運動は強ければ強いほどよいわけではありません。
年齢、心肺機能、運動経験、整形外科疾患、服薬状況などを踏まえて調整します。
特に運動習慣がなかった方は、短いウォーキングなどから始めても構いません。
無理なく長く続けられることを優先する
私たちが大切にしているのは、「完璧な運動メニューを一時的に行うこと」よりも、「自分に合った運動を長く続けること」です。
目標となる運動量はありますが、数字だけにとらわれる必要はありません。まずは今の身体に合った量から始め、少しずつ運動を生活の中に増やしていきましょう。
早期に一度はリハビリ専門職へ相談してほしい理由

パーキンソン病と診断されても、ヤール1・2では日常生活に大きな支障がなく、「まだリハビリは必要ない」と感じる方もいるでしょう。
しかし早期の目的は、できなくなった動作を練習することだけではありません。今の身体を知り、自分に合った運動を始めることにも意味があります。
私たちAXIS-PDでは、どんな小さなことでも相談(無料)を承っております。理学療法士が直接相談を受けますので、お気軽にお問合せください。
現在の身体機能を確認できる
理学療法士は、筋力だけでなく、歩行、バランス、柔軟性、持久力、姿勢、日常の活動量などを総合的に確認します。
まだ困っていない時期に評価することで、「今どのくらい動けているのか」という自分の現在地を知ることができます。
自分では気づきにくい左右差や動作の変化を確認できる
早期では、片側の腕振りが小さい、歩幅に左右差がある、体幹をひねりにくいなど、本人には気づきにくい小さな変化がみられることがあります。
理学療法士は、「歩けるか」だけではなく、どのように歩いているか、どのように身体を使っているかまで確認します。
自分に合った運動方法を知ることができる
パーキンソン病にはさまざまな運動が推奨されていますが、全員が同じ運動を行えばよいわけではありません。
症状、体力、年齢、仕事、趣味、運動経験などによって必要な運動は異なります。
自分に何が必要なのかを知り、続けられる方法を選ぶことも専門職へ相談する大きな意味です。
将来の変化を比較するための基準をつくれる
早期に歩行やバランス、体力などを確認しておけば、後から変化を感じたときに以前の状態と比較しやすくなります。「悪くなったら評価する」のではなく、「まだ動けるときの自分を知っておく」ことです。
早期の評価は、できないことを探すためではなく、今できていることを確認し、それを長く生かしていくためのスタート地点をつくることだと考えています。
早期から運動を続けるための日常生活の工夫
パーキンソン病の運動では、特別なリハビリの時間だけでなく、日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことも大切です。
ウォーキングや散歩を生活に取り入れる
買い物まで歩く、ひと駅分歩く、昼休みに散歩するなど、普段の生活と組み合わせることでウォーキングを続けやすくなります。
好きなスポーツや運動を活用する
ゴルフ、水泳、自転車、ヨガ、ダンスなど、自分が楽しめる活動も選択肢になります。
医学的に推奨された運動を義務として行うだけではなく、「またやりたい」と思える運動を見つけることも大切です。

座りっぱなしの時間を減らす
長時間座り続けず、定期的に立つ、家事をする、少し歩くなど、日常の小さな活動を増やすことも意識しましょう。
運動する曜日や時間を決める
「時間があったらやる」より、「月・水・金は散歩」のように、生活の予定として運動を組み込むことが習慣化につながります。
一人で続けにくければ専門家や家族の力を借りる
一人では続きにくい場合は、理学療法士などの専門職、運動施設、家族や友人の力を借りることもひとつの方法です。「自然と運動を続けられる環境をつくる」ことです。
早期でも運動するときに注意したいこと
パーキンソン病では早期から運動に取り組むことが大切ですが、症状や体調に合わせて安全に行うことが前提です。
症状や体調には個人差がある
同じヤール1・2でも、年齢、体力、運動経験、持病、症状などは一人ひとり異なります。
特に運動習慣がなかった方は、短時間・軽い運動から始め、徐々に身体を慣らしましょう。
オン・オフによって動きやすさが変わることがある
薬が効いて動きやすい時間を「オン」、薬の効果が弱まり症状が出やすくなる時間を「オフ」と呼びます。
運動する時間帯によって動きやすさが大きく異なる方は、比較的動きやすい時間帯に運動することも方法のひとつです。
服薬は自己判断で調整せず、主治医に相談してください。

めまい・ふらつき・転倒に注意する
パーキンソン病では起立性低血圧がみられることがあり、立ち上がったときのめまいやふらつきにつながる場合があります。運動中にふらつきを感じた場合は無理に続けず、安全な場所で休みましょう。
痛みや強い疲労がある場合は無理をしない
普段とは違う強い痛み、強い息苦しさ、めまいなどがある場合には運動を中止してください。
「頑張ること」よりも、翌日の生活に大きく影響しない範囲で継続できることを優先します。
症状に変化がある場合は主治医へ相談する
以前より急に歩きにくくなった、転倒が増えた、強いめまいが続く、薬が効きにくくなったなどの変化がある場合は、主治医へ相談しましょう。
AXIS-PDでは、「運動は重要だからこそ、安全に長く続ける」という考え方を大切にしています。
運動を始めるのに「早すぎる」ことはある?
パーキンソン病では、症状が軽いからといって「まだ運動を始めなくてよい」というわけではありません。
ただし、早期から運動することは、最初から厳しいトレーニングをするという意味ではありません。
激しい運動を始める必要はない
急に長時間歩いたり、強い負荷で筋力トレーニングをしたりする必要はありません。
運動内容は、年齢、体力、運動経験、持病、症状などに合わせて調整します。
今できる運動から始めればよい
散歩、ウォーキング、ストレッチ、筋力トレーニング、趣味のスポーツなど、現在できている活動をそのまま生かせる場合もあります。
理学療法士として大切だと考えるのは、今できている活動をなるべく手放さず、必要に応じて運動の量や内容を整えていくことです。
大切なのは自分に合った運動を継続すること
大切なのは、「早く始めること」と「長く続けること」をセットで考えることです。
診断を受けたことをきっかけに活動を減らすのではなく、まだ動ける今だからこそ、自分に合った運動を見つけて生活の中に取り入れていく。
早期は、リハビリを待つ時期ではなく、これからも動き続けるための準備を始める時期だとAXIS-PDでは考えています。
よくある質問
はい。症状が軽くても、早い段階から身体の状態を確認し、自分に合った運動を始めることが勧められています。特に早期では、運動習慣をつくることが大切です。
必要性はあります。ヤール1では日常生活への支障が少なくても、左右差や腕振り、歩幅などに変化がみられることがあります。困ってからではなく、今の身体機能を確認することも早期リハビリの役割です。
はい。ウォーキングは有酸素運動として有効です。ただし、パーキンソン病では筋力、バランス、柔軟性、歩行なども重要なため、可能であれば複数の運動を組み合わせることが推奨されます。
運動には運動症状や身体機能、生活の質などへの効果が期待されていますが、病気そのものの進行を確実に遅らせるとまでは現時点で断定できません。一方で、運動はパーキンソン病治療の重要な柱のひとつと考えられています。
どちらか一方ではなく、専門家に身体の状態や運動方法を確認してもらい、自宅で継続する形がおすすめです。
まとめ
パーキンソン病では、症状が強くなってからではなく、早期から運動を始めることが大切です。
特にヤール1・2は、比較的動きやすく、運動習慣をつくりやすい時期です。まだ困りごとが少ない段階から、歩行やバランス、筋力、体力など現在の身体機能を確認しておくことにも意味があります。
AXIS-PDでは、「できなくなってからリハビリをする」のではなく、「まだ動けるうちから、動き続ける準備をする」ことを大切にしています。
自分に合った運動を見つけ、無理なく生活の中に取り入れながら、長く続けていきましょう。
参考文献・参考資料
- Osborne JA, et al. Physical Therapist Management of Parkinson Disease: A Clinical Practice Guideline From the American Physical Therapy Association. Physical Therapy. 2022;102(4).
- McGinley JL, Nakayama Y. Exercise for People with Parkinson’s Disease: Updates and Future Considerations. Physical Therapy Research. 2024;27(2):67-75.
- Parkinson’s Foundation / American College of Sports Medicine. Parkinson’s Exercise Recommendations.
- International Parkinson and Movement Disorder Society. Role of Physical Therapy and Exercise in Management of Parkinson’s Disease.
- Hoehn MM, Yahr MD. Parkinsonism: onset, progression and mortality. Neurology. 1967;17(5):427-442.










