パーキンソン病でもゴルフはできる?安全に続けるコツとリハビリを解説

パーキンソン病と診断された後も、「できることならゴルフを続けたい」「もう一度コースに出たい」と考える方は少なくありません。一方で、身体のこわばりや動きにくさ、ふらつき、疲れやすさなどにより、以前のようにスイングできない、18ホールを回れるか不安と感じることもあると思います。
パーキンソン病があっても、症状や体力に合わせてプレー方法を調整することで、ゴルフを継続・再開できる場合があります。ただし、病気の進行度や薬の効き方、転倒リスク、持久力などには個人差があるため、すべての方が同じようにプレーできるわけではありません。
また、ゴルフではスイングだけでなく、コース内の移動、傾斜地での立位、カートの乗り降り、長時間の屋外活動など、さまざまな身体機能が求められます。そのため、安全に楽しむには、症状がゴルフ動作にどのような影響を与えているかを理解し、自分に合った工夫を取り入れることが大切です。
この記事では、パーキンソン病のリハビリに携わる理学療法士の視点から、ゴルフを続けるメリット、症状がスイングやラウンドに与える影響、安全にプレーするための注意点、ゴルフの継続・再開に役立つ運動をわかりやすく解説します。筆者は、ゴルフに必要な身体機能やスイング動作を専門的に学ぶ「ゴルフフィジオセラピスト(GPT)」のインストラクター資格も保有しており、パーキンソン病とゴルフ動作の両面からお伝えします。
パーキンソン病でもゴルフは続けられる?
パーキンソン病と診断されても、必ずゴルフをやめなければならないわけではありません。症状や体力、安全面に配慮しながらプレー方法を調整することで、ゴルフを継続したり、一度離れていた方が再開したりできる場合があります。
ただし、「パーキンソン病でもゴルフはできる」と一律に判断することはできません。現在の身体の状態を確認し、自分に合った楽しみ方を選ぶことが大切です。
症状や体力に合わせれば継続・再開できる場合がある
パーキンソン病では、身体のこわばりや動作の遅さ、ふらつき、疲れやすさなどがみられます。しかし、これらの症状があるからといって、ゴルフがまったくできなくなるとは限りません。
薬が効いている時間帯を選ぶ、プレー時間を短くする、移動にカートを利用するなどの工夫によって、身体への負担を減らせます。しばらくゴルフから離れていた場合は、いきなりコースを回るのではなく、パッティングや短時間の練習から始めると安全です。
すべての人が同じ条件でプレーできるわけではない
ゴルフを続けられるかどうかは、病気の進行度だけでは決まりません。薬の効き方、転倒歴、歩行能力、持久力、めまいや立ちくらみの有無などによって、適したプレー方法は異なります。
また、同じ人でも日によって身体の動きや疲労の程度が変わります。いつもよりふらつきやこわばりが強い日は無理をせず、練習やラウンドを中止する判断も必要です。転倒が増えている場合や全身状態に不安がある場合は、主治医やリハビリ専門職へ相談しましょう。
18ホールにこだわらず自分に合った楽しみ方を選ぶ
ゴルフの楽しみ方は、18ホールを歩いて回ることだけではありません。練習場でボールを打つ、パッティングだけを楽しむ、ショートコースや9ホールを回る、カートを利用するなど、身体の状態に応じて選択できます。
以前と同じ飛距離やスコアを目指すのではなく、現在の身体に合った方法でゴルフを続けること、一番は楽しむことが重要です。プレー内容を調整することは後退ではなく、ゴルフを長く安全に楽しむための工夫といえるでしょう。
パーキンソン病の方がゴルフを続けるメリット
パーキンソン病の方にとって、ゴルフは身体を動かすだけでなく、外出や人との交流を続けるきっかけにもなります。ゴルフそのものにパーキンソン病を改善する効果があるとは断定できませんが、症状や体力に合わせて安全に行うことで、運動や社会参加の選択肢の一つになります。
楽しみながら身体活動量を確保できる
運動は継続することが大切ですが、義務のように感じると長続きしにくいものです。好きなゴルフであれば、練習場でボールを打つ、コース内を移動するといった活動を楽しみながら続けられます。
ただし、ラウンドは長時間に及ぶため、歩く距離やプレー時間を調整し、疲労を翌日まで残さないことも重要です。
体幹の回旋や左右への重心移動を使う
ゴルフスイングでは、胸郭や体幹を回しながら、左右の足へ重心を移動させます。パーキンソン病では身体のこわばりや動作の小ささが現れやすいため、こうした動きを使うゴルフは、身体を大きく動かす機会になります。
一方で、無理に身体をひねったり、速く振ったりする必要はありません。現在の可動域とバランス能力に合わせて行いましょう。
外出や人との交流を続けるきっかけになる
パーキンソン病の症状が進むと、外出や人と会う機会が少なくなることがあります。ゴルフ仲間との練習やラウンドは、定期的に外出し、会話や交流を続けるきっかけになります。
プレーだけでなく、仲間と同じ時間を過ごすことにも大きな意味があります。
趣味を続けることが生活の質につながる
長く続けてきた趣味を病気のために諦めることは、本人にとって大きな喪失となる場合があります。以前と同じ飛距離やスコアでなくても、ボールを打つ達成感やコースに出る楽しさは得られます。
現在の身体に合った方法で好きな活動を続けることは、意欲や生活の張りを保ち、生活の質を支えることにつながります。
パーキンソン病の症状はゴルフにどう影響する?

パーキンソン病では、固縮、動作緩慢、姿勢の変化、バランス低下などが、ゴルフスイングやコース内の移動に影響することがあります。単に筋力が落ちたから打ちにくくなるのではなく、アドレスからフィニッシュまでの各局面で、異なる問題が起こる点が特徴です。

アドレスが安定しにくい|前かがみ姿勢とバランス低下
前かがみ姿勢が強くなると、股関節ではなく背中を丸めて構えやすくなります。足裏への体重のかかり方も偏り、ボールとの距離やクラブの位置が安定しにくくなります。
バックスイングが小さくなる|固縮と体幹回旋の低下
首や肩、胸郭、体幹のこわばりによって身体を回しにくくなると、腕だけでクラブを上げるスイングになりやすくなります。その結果、バックスイングが小さくなり、スムーズな切り返しも難しくなります。
飛距離が落ちる|動作緩慢と重心移動の難しさ
パーキンソン病では、動作の大きさや速さが低下することがあります。バックスイングからダウンスイングへの切り返しが小さくなり、後方の足から前方の足へ十分に重心を移せないと、クラブに力を伝えにくくなります。
NEWフィニッシュでふらつく|姿勢を保つ能力の低下
スイング後は身体が回旋し、片側の足に体重が移ります。バランス能力が低下していると、フィニッシュ姿勢を保てず、後方や左右へよろけることがあります。傾斜地では、さらに注意が必要です。
パッティングに影響する|振戦や力の入りすぎ
手の震えがある場合、クラブヘッドの細かな操作が難しくなることがあります。また、震えを抑えようとしてグリップを強く握ると、肩や腕まで硬くなり、かえってストロークが不安定になる場合があります。
コース内を移動しにくい|すくみ足・疲労・歩行障害
ゴルフではスイングだけでなく、芝の傾斜、段差、バンカー、カートの乗り降りにも対応しなければなりません。すくみ足や小刻み歩行、疲れやすさがあると、後半ほど移動が不安定になるため、プレー時間や移動方法の調整が重要です。
ゴルフをする前に確認したい身体の状態

パーキンソン病の方がゴルフを安全に楽しむには、病気の進行度だけでなく、その日の身体の状態を確認することが大切です。同じ人でも、薬の効き方や睡眠、疲労によって動きやすさは変化します。次の項目は、ゴルフができるかを自己判断するテストではなく、プレー時間や内容を調整するための確認ポイントです。
薬が効いているオン時間を把握できているか
薬が効いて身体を動かしやすいオン時間に合わせると、スイングや歩行が安定しやすくなります。ラウンド中に薬の効果が切れやすい場合は、服薬時間や休憩の取り方を主治医と相談しておきましょう。

立った姿勢や歩行で強いふらつきがないか
アドレス姿勢を10秒程度保てるか、左右に体重を移しても大きくふらつかないかを確認します。歩行がいつもより不安定な日は、傾斜地やバンカーで転倒する危険が高まります。
めまいや立ちくらみが起きていないか
パーキンソン病では、立ち上がったときに血圧が下がる起立性低血圧がみられることがあります。めまいや立ちくらみがある日は、暑い屋外での長時間プレーを避け、無理にラウンドしないことが重要です。
いつもより疲労やこわばりが強くないか
睡眠不足や体調不良があると、身体のこわばりや動きにくさが強くなることがあります。数分歩いただけで強く疲れる場合や、普段より身体を回しにくい場合は、練習時間を短くするか休みましょう。
素振り後にフィニッシュ姿勢を保てるか
安全な場所でゆっくり素振りを行い、スイング後に姿勢を立て直せるか確認します。フィニッシュで大きくよろける場合は、フルスイングを避け、振り幅を小さくするなどの調整が必要です。また、バランスを保つという視点では、靴が適切なサイズ、自分に合った靴を履いているかはとても重要です。ゴルフスイングの安定性にも関わることですので、是非下記の記事も合わせて参考にしてください。
確認項目に不安がある場合は、主治医や理学療法士などに相談し、現在の身体に合ったゴルフの楽しみ方を検討しましょう。
パーキンソン病の方が安全にゴルフを続けるコツ
パーキンソン病の方がゴルフを続けるには、スイングだけでなく、コース内の移動や暑さ、疲労への対策も必要です。ゴルフ場には傾斜や段差、濡れた芝などがあり、日常生活よりも転倒リスクが高まる場合があります。身体の状態に合わせて、無理のないプレー方法を選びましょう。
薬が効いている時間帯にプレーする
身体を動かしやすいオン時間に、スタートや練習時間を合わせます。ラウンド中に薬の効果が切れやすい方は、服薬時間について事前に主治医へ相談しておくと安心です。
まずは9ホールや短時間の練習から始める
久しぶりにゴルフを再開する場合は、いきなり18ホールを回らず、練習場や9ホールから始めましょう。プレー中だけでなく、当日の夜や翌日に疲労が残らないかも確認します。
カートを活用して移動の負担を減らす
コース内を長時間歩くと、後半に疲労や歩行の不安定さが強くなることがあります。カートを利用し、移動距離や立っている時間を減らすことも、安全にゴルフを続けるための工夫です。
傾斜地・バンカー・段差では無理をしない
傾斜のある芝やバンカーの出入り、カートの乗り降りでは、バランスを崩しやすくなります。濡れた地面では特に注意し、難しい場所から無理に打たず、ボールを安全な位置へ移す判断も必要です。
暑さや脱水、起立性低血圧に注意する
長時間の屋外活動では、脱水や血圧低下によって、めまいや立ちくらみが起こることがあります。こまめに水分を取り、日陰で休憩しましょう。真夏のラウンドは避け、トイレの場所も確認しておくと安心です。
同伴者に病気や必要な配慮を伝えておく
薬が切れたときの症状や、ふらついた際の対応を同伴者に伝えておきましょう。一人で抱え込まず、カート移動やボール探しを手伝ってもらうことも大切です。
スコアよりも安全に楽しむことを優先する
後続組を気にして急ぐと、動作が乱れて転倒につながる可能性があります。以前と同じ飛距離やスコアにこだわらず、休憩や途中終了を選べる余裕を持つことが、ゴルフを長く続けることにつながります。
ゴルフを再開するときは段階的に進める
パーキンソン病の方がゴルフを再開するときは、いきなり18ホールを回るのではなく、身体の反応を確認しながら段階的に進めることが大切です。プレー中に問題がなくても、当日の夜や翌日に強い疲労やこわばりが残る場合があります。無理なく続けられる範囲を見つけましょう。
コース選びでは、河川敷などのフラットなコースを選ぶとより安全にゴルフを楽しむことができます。
パッティングやアプローチから始める
まずは移動距離やスイングの負担が少ないパッティング、短いアプローチ練習から始めます。構えた姿勢を保てるか、ボールを打った後にふらつかないかを確認しましょう。
練習場で身体の反応を確認する
次に、練習場で短時間のショットを行います。最初からフルスイングを繰り返さず、小さな振り幅から始め、体幹の回しにくさ、疲労、痛み、バランスの変化を確認します。
9ホールやショートコースを試す
練習場で問題がなければ、ショートコースや9ホールを検討します。芝の傾斜や段差、カートの乗り降りなど、練習場にはない環境で安全に動けるかを確認する段階です。
カートを利用して通常のコースへ移行する
通常のコースへ戻る際は、カートを活用して歩く距離を減らしましょう。無理にボールを追わず、傾斜地やバンカーでは安全を優先します。必要に応じて同伴者にも協力してもらいます。
18ホールは体力や翌日の疲労も確認して判断する
9ホールを安全に回れても、18ホールでは疲労や薬のオフ症状が強くなることがあります。プレー中の状態だけでなく、終了後や翌日の疲れ、こわばり、歩きにくさまで確認し、18ホールへ進むか判断しましょう。
パッティング、アプローチ、練習場、ショートコース、9ホール、18ホールの順に進めることで、現在の身体に合ったゴルフの楽しみ方を見つけやすくなります。
ゴルフを続けるために取り組みたいリハビリ
パーキンソン病の方がゴルフを安全に続けるには、筋力だけでなく、体幹の回旋、重心移動、バランス、持久力などを総合的に保つことが大切です。痛みやふらつきがある場合は無理をせず、主治医や理学療法士に相談しながら行いましょう。
呼吸を整えて肩や腕の力を抜く
震えや動きにくさを抑えようとして、グリップを強く握ると肩や腕まで硬くなります。ゆっくり息を吐きながら肩の力を抜き、クラブを軽く握る感覚を確認します。
胸郭と体幹を左右に回す
椅子に座るか安定した姿勢で、胸を左右へゆっくり向けます。腰だけを無理にひねらず、胸郭と骨盤が連動して動くことを意識しましょう。
肩甲骨と肩関節を動かす
肩甲骨を寄せる、腕を前後に大きく動かす運動は、バックスイングに必要な上半身の動きを引き出します。痛みのない範囲で行ってください。
股関節を使って左右に重心移動する
足を肩幅に開き、身体を左右へ移動させます。上半身だけを傾けるのではなく、股関節を使って左右の足へ体重を乗せることがポイントです。
フィニッシュ姿勢で止まる練習をする
小さな素振りから始め、振った後に数秒間姿勢を保ちます。ふらつく場合は、壁や椅子の近くで安全を確保し、振り幅を小さくします。
ステップと回旋を組み合わせる
左右への一歩と体幹の回旋を組み合わせると、切り返しや重心移動に必要な全身の連動を練習できます。速さよりも、大きく安定して動くことを優先しましょう。
歩行と持久力の運動も取り入れる
ラウンドではスイング以上に、移動や立位に体力を使います。散歩や自転車運動なども取り入れ、翌日に強い疲れを残さない範囲で持久力を保ちましょう。
ラウンド前に行いたいウォーミングアップ

パーキンソン病の方がゴルフを安全に楽しむには、ラウンド前のウォーミングアップが大切です。いきなり大きく速いスイングを行うのではなく、小さな動きから始め、身体のこわばりやふらつきを確認しながら徐々に動きを広げましょう。
深呼吸しながら肩の力を抜く
まずは安定した姿勢で立ち、鼻から息を吸い、口からゆっくり吐きます。息を吐くときに肩を下げ、腕や手の余計な力を抜きましょう。クラブを強く握りすぎないこともポイントです。
クラブを使って体幹をゆっくり回す
クラブを両手で持ち、胸の前や肩の高さで構えます。足を安定させた状態で、胸を左右へゆっくり向けましょう。腰だけを無理にひねらず、胸郭や股関節を含めて身体全体を動かします。
左右への重心移動を確認する
足を肩幅程度に開き、右足と左足へ交互に体重を移します。上半身だけを傾けず、足裏で地面を感じながら行いましょう。大きくふらつく場合は、クラブや手すりなどで安全を確保します。
小さな振り幅から素振りを始める
最初は腰から腰までの小さな素振りを、ゆっくり行います。身体が動きやすくなってから肩の高さまで振り幅を広げ、最後に通常のスイングへ移行します。速さよりも、リズムよく安定して動くことを優先してください。
最後にフィニッシュ姿勢を確認する
素振りの後に、フィニッシュ姿勢を数秒間保てるか確認します。大きくよろける場合は、振り幅を小さくするか、カートや壁の近くで行いましょう。
股関節の可動域を広げる
ゴルフにとって股関節の回旋可動域、特に外旋・内旋はとても大事です。パーキンソン病では体の回旋制限が起きやすいですが、胸郭や肩甲骨回りだけでなく、股関節の回旋もしっかりと広げておきましょう。
ウォーミングアップは、小さい動き、ゆっくりした動き、大きな動き、実際のスイングの順に進めることが基本です。その日の身体の状態に合わせ、無理なくラウンドを始めましょう。
ゴルフを中止して専門家に相談した方がよいサイン
パーキンソン病の方がゴルフを続けられるかどうかは、病期だけでは判断できません。転倒歴や歩行状態、薬の効き方、全身の体調を含めて考える必要があります。次のような変化がある場合は、無理にプレーを続けず、主治医や理学療法士などの専門家へ相談しましょう。
転倒やふらつきが増えている
最近転ぶことが増えた、立っているだけでもふらつく場合は、傾斜や段差の多いゴルフ場で転倒する危険が高まります。症状を評価してもらうまで、ラウンドを控えることが安全です。
めまい・立ちくらみ・意識が遠のく感覚がある
立ち上がったときや歩行中にめまい、立ちくらみ、目の前が暗くなる感覚がある場合は、起立性低血圧などが関係していることがあります。その場で座るか横になり、プレーを中止してください。
プレー中に急に身体が動かなくなる
薬の効果が切れるオフ症状や、すくみ足によって急に動けなくなることがあります。繰り返す場合は、服薬時間やプレー方法について主治医へ相談しましょう。
痛みや息苦しさなど普段と違う症状がある
胸の痛み、強い息苦しさ、冷や汗、急な手足の力の入りにくさなどがある場合は、ゴルフを直ちに中止し、症状に応じて速やかに医療機関を受診してください。
翌日まで強い疲労が残る
ラウンド後の強い疲れやこわばりが翌日まで続く場合は、プレー時間や運動量が多すぎる可能性があります。9ホールに減らす、カートを使うなどの調整が必要です。
家族や同伴者から安全面を心配されている
本人が気づきにくい歩行やバランスの変化を、周囲が先に感じることもあります。家族や同伴者の意見も受け止め、専門家による評価を受けましょう。
パーキンソン病とゴルフに関するよくある質問
ゴルフをすること自体が、パーキンソン病を悪化させると示した十分な根拠はありません。運動はパーキンソン病の治療を支える重要な要素ですが、転倒や過度な疲労を避け、症状や体力に合った方法で行う必要があります。
初期であれば続けられる方は多いと考えられますが、病期だけでは判断できません。ふらつき、薬の効き方、疲れやすさ、持病などを確認し、必要に応じて主治医や理学療法士へ相談しましょう。
手の震えがあっても、ゴルフができないとは限りません。ただし、グリップやパッティングに影響する場合があります。クラブを強く握りすぎず、振り幅やプレー内容を調整することが大切です。
ゴルフでは、体幹の回旋、重心移動、バランス、歩行などを使います。小規模な研究では、パーキンソン病の方がゴルフを行うことの実施可能性や、バランス・生活の質への効果の可能性が示されました。ただし、研究は限られており、ゴルフだけで症状が改善すると断定はできません。
2025年の観察研究では、ゴルフ場の近くに住むこととパーキンソン病の発症リスクとの関連が報告されました。ただし、これは因果関係を証明した研究ではなく、農薬や地下水など、何が影響したかも確定していません。また、ゴルフをプレーすることで発症するという意味でもありません。
まとめ
パーキンソン病でもゴルフを続けられる場合がある
パーキンソン病と診断されても、必ずしもゴルフを諦める必要はありません。症状や体力、安全面に配慮しながら方法を調整することで、練習やラウンドを継続・再開できる場合があります。
症状に合わせてプレー方法を調整することが大切
薬が効いている時間帯を選ぶ、9ホールから始める、カートを利用するなど、現在の身体に合った方法を選びましょう。以前と同じ飛距離やスコアにこだわらず、無理なく楽しめる範囲を見つけることが大切です。
スイングだけでなく移動や疲労にも注意する
ゴルフでは、スイング以外にもコース内の移動、傾斜地や段差、暑さ、長時間の屋外活動などが身体への負担になります。プレー中の状態だけでなく、終了後や翌日に強い疲労が残っていないかも確認しましょう。
安全に楽しむために身体の状態を定期的に確認する
ふらつきや転倒、めまい、急な動きにくさがある場合は、無理に続けず、主治医や理学療法士などへ相談してください。
病気になったからゴルフを諦めるのではなく、現在の身体の状態に合わせて楽しみ方を調整することが、長く安全に続けるための第一歩です。好きなゴルフを続けることは、身体を動かす機会だけでなく、外出や人との交流、生活の楽しみを保つことにもつながります。
参考文献・参考資料
- Parkinson's UK. Exercise and Physical Activity
パーキンソン病患者に推奨される運動や身体活動について紹介。
https://www.parkinsons.org.uk/information-and-support/exercise-and-parkinsons - Parkinson's Disease and Golf: A Scoping Review(2021)
パーキンソン病とゴルフに関する研究をまとめたレビュー論文。ゴルフが実施可能であることや、身体機能・生活の質への影響について整理されています。 - Physical Activity, Exercise, and Physiotherapy in Parkinson Disease(2024)
パーキンソン病における運動療法・身体活動の最新エビデンスをまとめたレビュー論文。







