パーキンソン病とサルコペニア・フレイル|筋力低下の原因と予防・改善方法を理学療法士が解説

パーキンソン病のある方のなかには、「以前より立ち上がりにくくなった」「歩く速度が遅くなった」「疲れやすく、外出する機会が減った」と感じる方も少なくありません。
こうした変化は、パーキンソン病そのものの症状だけでなく、筋力や筋肉量、身体機能が低下する「サルコペニア」や、心身の活力が低下して要介護状態に近づく「フレイル」が関係している可能性があります。
パーキンソン病では、無動や筋強剛、歩行障害、転倒への不安などから身体を動かす機会が減りやすくなります。さらに、食欲低下や嚥下障害、抑うつ、社会参加の減少などが重なると、筋力低下や低栄養が進み、サルコペニアやフレイルにつながる悪循環が生じます。
大切なのは、筋力が落ちたからといって、すべてを「パーキンソン病が進行したため」と考えないことです。活動量や栄養状態、生活環境を見直し、早い段階から適切な運動や食事に取り組むことで、身体機能を維持・改善できる可能性があります。
パーキンソン病ではサルコペニア・フレイルに注意が必要
パーキンソン病のある方では、無動や筋強剛、歩行障害、転倒への不安などによって身体を動かす機会が減りやすくなります。活動量の低下が続くと、筋力や筋肉量、歩行などの身体機能が低下する「サルコペニア」や、心身の活力が低下する「フレイル」につながる可能性があります。
サルコペニアやフレイルが重なると、立ち上がりや歩行がさらに難しくなり、転倒や外出機会の減少、日常生活動作の低下を招く悪循環が生じます。そのため、パーキンソン病の症状だけでなく、筋力、体重、食事量、活動量、社会参加の変化にも目を向けることが大切です。パーキンソン病ではサルコペニアが併存することがあり、早期に筋力や筋肉量の低下を見つける重要性が指摘されています。
筋力低下は病気の進行だけが原因ではない
「立ち上がりにくくなった」「歩く速度が遅くなった」といった変化があっても、必ずしもパーキンソン病そのものが進行したとは限りません。運動不足、低栄養、体重減少、加齢、入院後の活動量低下などが重なり、サルコペニアが進んでいる可能性もあります。
また、パーキンソン病では筋肉量が減っていなくても、無動や筋強剛によって力を素早く発揮しにくくなることがあります。筋力低下を感じたときは、病気の進行だけで判断せず、生活状況や栄養状態を含めて原因を確認することが重要です。
早期から対策することで生活機能を維持できる可能性がある
サルコペニアやフレイルは、早い段階で気づき、運動・栄養・社会参加を組み合わせて対策することが重要です。筋力トレーニングだけでなく、歩行練習、バランス練習、十分な食事、外出や人との交流を継続することで、活動量の低下を防ぎやすくなります。
まだ動ける時期から身体機能を確認し、一人ひとりの状態に合った運動を続けることが、転倒予防や生活機能の維持につながります。
この記事では、パーキンソン病とサルコペニア・フレイルの関係、それぞれの違い、起こりやすい原因、セルフチェックの方法、予防のための運動や栄養について、理学療法士が分かりやすく解説します。
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢や病気、低栄養、活動量の低下などによって、骨格筋量と筋力が低下した状態です。立ち上がりや歩行が難しくなり、転倒や生活機能の低下につながるため、パーキンソン病のある方も注意が必要です。
サルコペニアの定義
サルコペニアは、単に「筋肉量が減った状態」ではありません。現在は筋肉の量に加え、握力などで評価する筋力の低下を確認して診断します。歩行速度や立ち上がり能力などの身体機能も、日常生活への影響を把握する重要な指標です。
サルコペニアの原因
加齢を主な原因とするものを一次性サルコペニア、病気、運動不足、低栄養などが関係するものを二次性サルコペニアと呼びます。パーキンソン病では、無動や歩行障害による活動量の低下、食事量の減少、嚥下障害などが重なり、サルコペニアを併存することがあります。
診断基準(AWGS 2025)
AWGS 2025では、低筋肉量と低筋力の両方を認める場合にサルコペニアと診断します。65歳以上における低筋力の目安は、握力が男性28kg未満、女性18kg未満です。筋肉量はDXAやBIAを用いて測定します。歩行速度などの身体機能は診断項目から外れ、経過や介入効果を確認する指標として扱われます。
筋肉量だけでは判断できない理由
筋肉量が保たれていても、筋力が低下し、立ち上がりや歩行が難しくなっている場合があります。特にパーキンソン病では、無動や筋強剛によって力を十分に発揮しにくいこともあります。そのため、見た目や体重だけで判断せず、筋肉量、握力、歩行、立ち上がり動作を総合的に確認することが大切です。
フレイルとは
フレイルとは、加齢や病気などによって心身の予備力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態です。病気や転倒などをきっかけに生活機能が低下しやすくなりますが、早い段階で運動・栄養・社会参加などの対策を行うことで、健康な状態に近づける可能性があります。
パーキンソン病では、動きにくさや疲労、食事量の減少、外出機会の低下などが重なり、フレイルにつながることがあります。フレイルは身体だけの問題ではなく、身体的・精神心理的・社会的という複数の側面から捉えることが大切です。
フレイルとは
フレイルは「年齢を重ねれば仕方がない状態」ではありません。早期に変化へ気づき、生活習慣や周囲の支援を見直すことが重要です。筋力低下だけでなく、疲れやすさ、体重減少、活動量や人との交流の減少などもフレイルのサインとなります。
身体的フレイル
身体的フレイルは、筋力や持久力、歩行能力などが低下した状態です。意図しない体重減少、疲労感、握力低下、歩行速度の低下、身体活動量の減少などがみられます。サルコペニアは身体的フレイルを招く重要な要因の一つです。
精神的フレイル
精神的フレイルは、抑うつや意欲低下、認知機能の低下など、こころや認知面の脆弱性が高まった状態です。パーキンソン病では、気分の落ち込みやアパシー(意欲低下・無気力)によって運動や外出への意欲が低下し、身体的フレイルにも影響する可能性があります。
社会的フレイル
社会的フレイルは、外出や人との交流、社会参加の機会が減り、社会とのつながりが弱くなった状態です。外出の減少は活動量や食欲、気分にも影響するため、家族や友人との交流、地域活動への参加などを無理のない範囲で続けることが、パーキンソン病のフレイル予防につながります。
サルコペニアとフレイルの違い

サルコペニアとフレイルは、どちらも筋力や生活機能の低下に関係しますが、同じ状態ではありません。サルコペニアは主に筋肉の問題を表し、フレイルは身体・精神心理・社会生活まで含む、より広い概念です。両者は互いに影響し合い、同時に起こることもあります。
| 比較項目 | サルコペニア | フレイル |
|---|---|---|
| 主な状態 | 筋肉量と筋力の低下 | 心身の予備力が低下した状態 |
| 主な影響 | 立ち上がり・歩行・バランス能力の低下 | 身体機能、気分、認知、社会参加などの低下 |
| 評価 | 筋肉量、握力など | 体重減少、疲労、活動量、歩行、社会生活など |
| 関係 | 身体的フレイルの一因になる | サルコペニアを含み得る広い概念 |
サルコペニア
サルコペニアは、加齢や病気、低栄養、活動量の低下などによって、骨格筋量と筋力が低下した状態です。筋力低下により、椅子からの立ち上がり、歩行、階段昇降などが難しくなり、転倒や日常生活動作の低下につながります。
フレイル
フレイルは、健康な状態と要介護状態の中間にあり、病気や転倒などのストレスをきっかけに生活機能が低下しやすい状態です。筋力低下などの身体的問題だけでなく、抑うつや認知機能低下などの精神心理的問題、孤立や社会参加の減少といった社会的問題も含みます。
パーキンソン病では両方が起こりやすい理由
パーキンソン病では、無動や歩行障害、転倒への不安から活動量が減り、サルコペニアにつながることがあります。さらに、食事量の減少、疲労、抑うつ、意欲低下、外出や交流機会の減少が重なると、フレイルも進みやすくなります。サルコペニアによる筋力低下が外出を減らし、社会的フレイルを進めるなど、両者が悪循環をつくる点にも注意が必要です。パーキンソン病では、サルコペニアとフレイルの併存が少なくないことが報告されています。
パーキンソン病でサルコペニア・フレイルになりやすい理由

パーキンソン病では、運動症状と非運動症状が重なり、活動量・栄養状態・社会参加が低下しやすくなります。こうした変化が連鎖すると、筋肉量や筋力が低下するサルコペニアと、心身の予備力が低下するフレイルが進みやすくなります。
①運動量が減少する
無動や動作の遅さにより、歩行・家事・外出などが減少します。筋肉を使わない状態が続くと、下肢筋力や持久力が低下しやすくなります。
②筋強剛によって効率よく筋肉を使えない
筋強剛によって関節の動きが小さくなると、動作に余分な努力が必要となり、疲れやすさや活動量の低下につながります。
③歩きにくくなる
小刻み歩行やすくみ足、姿勢の変化によって歩行速度や移動距離が低下すると、下肢筋力やバランス能力も落ちやすくなります。
④転倒が怖くなる
転倒やふらつきを経験すると、再び転ぶ不安から外出や運動を控えることがあります。過度な活動制限は、サルコペニアと社会的フレイルの悪循環を招きます。

⑤低栄養・体重減少
食欲や食事量が低下し、エネルギーやたんぱく質が不足すると、筋肉を維持しにくくなります。ただし、体重減少だけで筋肉量の低下とは判断できません。パーキンソン病の体重減少では、筋肉より体脂肪の減少が中心となる場合もあります。
⑥嚥下障害
噛みにくさや飲み込みにくさ、むせがあると、食べられる食品や食事量が減り、低栄養につながる可能性があります。嚥下障害とフレイルには関連があることも報告されています。
⑦便秘
便秘による腹部の不快感や膨満感は、食欲に影響することがあります。活動量や水分摂取量の低下も便秘を悪化させる要因です。
⑧抑うつ・意欲低下
抑うつやアパシー(意欲低下・無気力)によって、運動・食事・外出・人との交流への意欲が低下すると、身体的・精神的・社会的フレイルが重なりやすくなります。
このように、パーキンソン病のサルコペニア・フレイルは、一つの原因ではなく、複数の症状と生活上の変化が影響し合って進行します。
サルコペニア・フレイルになるとどうなる?
パーキンソン病にサルコペニアやフレイルが重なると、筋力やバランス能力、歩行能力が低下し、転倒・骨折・入院などのリスクが高まります。さらに、外出や身の回りの動作が難しくなることで、要介護状態や生活の質(QOL)の低下につながる可能性があります。ただし、早期に気づいて運動や栄養などの対策を行うことで、悪循環を防げる場合があります。
転倒
下肢筋力や姿勢を保つ力が低下すると、立ち上がりや方向転換、歩き始めなどでふらつきやすくなります。パーキンソン病によるすくみ足や小刻み歩行も重なるため、サルコペニアを併存する方は転倒に注意が必要です。パーキンソン病では、サルコペニアのある方で転倒が多いことが報告されています。
骨折
転倒すると、手首や上腕骨、背骨、大腿骨近位部などを骨折することがあります。骨折後に安静期間が長くなると、筋力や活動量がさらに低下し、サルコペニアが進む悪循環にもつながります。サルコペニアは、転倒と骨折のリスク上昇に関連します。


要介護
歩行、着替え、入浴、トイレ、買い物などが難しくなると、日常生活で家族や介護サービスの支援が必要になることがあります。サルコペニアとフレイルを早期に見つけ、生活機能が大きく低下する前に対策することが重要です。
入院
転倒による骨折や体調不良をきっかけに、入院が必要になる場合があります。入院中の安静や環境の変化によって活動量や食事量が落ちると、筋力低下やフレイルが急速に進むこともあるため、可能な範囲で早期に身体を動かすことが大切です。
生活の質(QOL)の低下
動きにくさが強くなると、趣味や外出、人との交流を諦めてしまうことがあります。自分らしい生活を続けるためにも、筋力だけでなく、栄養状態、気分、社会参加を含めてサルコペニア・フレイルを予防する視点が必要です。
自宅でできるサルコペニア・フレイルのセルフチェック

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パーキンソン病のある方は、筋力、歩行、体重、活動量の変化を定期的に確認することで、サルコペニアやフレイルの早期発見につながります。ただし、セルフチェックだけでは診断できません。歩行や立ち上がりの低下にはパーキンソン病の症状も影響するため、複数の項目を総合的に確認しましょう。
SARC-F
SARC-Fは、筋力、歩行補助、椅子からの立ち上がり、階段昇降、転倒の5項目を各0~2点で評価する質問票です。合計4点以上はサルコペニアの可能性を示す目安となります。
握力
握力計がある場合は、左右の握力を測定します。AWGS 2025では、65歳以上の低筋力の目安を男性28kg未満、女性18kg未満としています。痛みやパーキンソン病の症状によって測定値が変わるため、数値だけで判断しないことが大切です。
歩行速度
以前より歩く速度が遅くなった、信号を渡り切れなくなった、休憩が増えたといった変化を確認します。AWGS 2025では歩行速度は診断項目ではありませんが、身体機能の経過をみる重要な指標です。
立ち上がり
椅子から手を使わずに立てるか、連続して立ち座りできるかを確認します。転倒の危険がある方は一人で行わず、安定した椅子を使い、家族や専門家の見守りのもとで実施してください。
体重減少
食事や運動を変えていないのに体重が減っていないか確認します。半年で5%を超える意図しない体重減少は、低栄養や病気が隠れている可能性があるため、医療機関への相談が必要です。
外出頻度
外出、買い物、散歩、人との交流が以前より減っていないか振り返ります。外出機会の減少は活動量を低下させ、身体的・社会的フレイルを進める要因になります。
複数の変化がみられる場合は、主治医や理学療法士、管理栄養士などに相談しましょう。
サルコペニア・フレイルを予防する運動
パーキンソン病のサルコペニア・フレイル予防では、筋力トレーニング、有酸素運動、バランス練習、ストレッチを組み合わせることが重要です。厚生労働省も、高齢者には複数の運動を組み合わせた「マルチコンポーネント運動」を推奨しています。
複数の種類の運動を組み合わせて行う運動のことです。
具体的には、次のような運動を組み合わせます。
- 筋力トレーニング
- 有酸素運動
- バランス練習
- 柔軟性を高める運動
厚生労働省は、高齢者に対して、有酸素運動・筋力トレーニング・バランス運動などを組み合わせた運動を推奨しています。体操、ダンス、ラジオ体操、ヨガなども、複数の身体要素を使う運動として含まれます。

筋力トレーニング
椅子からの立ち上がり、スクワット、かかと上げなどで、歩行や姿勢を支える下肢・臀部・体幹を鍛えます。筋力トレーニングは筋力低下を防ぎ、サルコペニア予防に役立ちます。反動を使わず、息を止めないように行いましょう。
有酸素運動
ウォーキングや自転車運動などの有酸素運動は、持久力や歩行能力の維持に役立ちます。長時間を一度に行う必要はなく、疲れやすい方は短時間に分けて継続します。パーキンソン病では、有酸素運動を含む定期的な運動が重要な治療の一部とされています。
バランス練習
横方向へのステップ、方向転換、物につかまって行う片足立ちなどで、姿勢を立て直す力を練習します。すくみ足や転倒歴がある方は、一人で行わず、理学療法士などの指導を受けると安全です。
ストレッチ
筋強剛や前かがみ姿勢があると、胸、肩、股関節、ふくらはぎなどが硬くなりやすくなります。ストレッチで動きやすい状態を整えることは、歩行や筋力トレーニングを行いやすくするために大切です。
日常生活で活動量を増やす工夫
運動時間だけでなく、座り続ける時間を減らすこともフレイル予防につながります。こまめに立つ、家事をする、近所を歩く、外出や趣味を続けるなど、生活の中で身体を動かす機会を増やしましょう。転倒や体調に不安がある場合は、主治医や理学療法士に相談し、自分に合った運動から始めることが大切です。
食事・栄養も重要
パーキンソン病のサルコペニア・フレイル予防では、運動だけでなく食事・栄養の管理も重要です。食事量の減少や低栄養が続くと、筋肉をつくる材料とエネルギーが不足し、筋力低下や体重減少につながります。
たんぱく質
たんぱく質は筋肉を維持するために欠かせません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などを、特定の食事に偏らせず毎食取り入れましょう。十分なたんぱく質の摂取と運動を組み合わせることが、サルコペニア予防につながります。
ビタミンD
ビタミンDは、骨や筋肉の健康維持に関係する栄養素です。魚類、きのこ類、卵などから摂取でき、適度に日光を浴びることも体内での生成に役立ちます。ただし、サプリメントは自己判断で使用せず、欠乏が疑われる場合に医師へ相談しましょう。
十分なエネルギー摂取
たんぱく質を摂っていても、食事全体のエネルギーが不足すると、筋肉がエネルギー源として使われることがあります。ご飯やパンなどの主食、主菜、副菜を組み合わせ、基本的には1日3食を意識します。少量しか食べられない場合は、間食も活用しましょう。
パーキンソン病治療薬_レボドパとの関係
人によっては、食事中のたんぱく質がレボドパの吸収や効果に影響することがあります。しかし、サルコペニアを防ぐために、たんぱく質を自己判断で減らすのは適切ではありません。薬の効きにくさを感じる場合は、主治医や薬剤師、管理栄養士に相談し、服薬と食事の時間を調整します。
体重管理
体重を定期的に測り、意図しない体重減少や食事量の変化を確認しましょう。急な体重減少、食欲低下、むせ、飲み込みにくさがある場合は、低栄養や嚥下障害の可能性もあるため、早めに医療機関へ相談することが大切です。

医療機関へ相談した方がよいサイン
パーキンソン病のある方に急な体重減少、歩行能力の低下、転倒、食事量の減少、嚥下障害がみられる場合は、サルコペニアやフレイルだけでなく、薬の影響や別の病気が関係している可能性があります。「年齢やパーキンソン病のため」と自己判断せず、主治医や医療専門職へ相談しましょう。
急激な体重減少
食事や運動量を変えていないのに体重が減り続ける場合は、低栄養や消化器疾患などが隠れていることがあります。定期的に体重を測り、減少した時期や食事量も記録して受診時に伝えましょう。
歩けなくなった
以前より急に歩けなくなった、立ち上がれない、介助量が増えた場合は、早めの受診が必要です。片側の手足の力が入らない、言葉が出にくい、意識がおかしいなどを伴う場合は、救急要請も検討してください。
転倒した
転倒後に強い痛み、腫れ、頭部打撲、立てない状態がある場合は、骨折や頭部外傷の可能性があります。目立ったけががなくても転倒を繰り返す場合は、薬、血圧、視力、歩行・バランス能力などの確認が必要です。パーキンソン病では姿勢保持障害によって転倒しやすくなります。
食事量が減った
食欲低下が続くと、エネルギーやたんぱく質が不足し、サルコペニアやフレイルが進みやすくなります。少量で満腹になる、食事に時間がかかる、食べこぼしが増えた場合も相談の目安です。
嚥下障害
食事中にむせる、声が濁る、飲み込みにくい、食後に咳が出る場合は、嚥下障害が疑われます。食事量の減少や誤嚥性肺炎につながる可能性があるため、主治医や言語聴覚士、歯科医師などへ相談しましょう。
よくある質問
適切な筋力トレーニングと十分な栄養摂取を続けることで、筋力や身体機能の改善が期待できます。早い段階から対策することが大切です。
筋トレだけでなく、たんぱく質やエネルギーの摂取、有酸素運動、生活全体の活動量を組み合わせることが重要です。
ウォーキングは持久力や活動量の維持に役立ちますが、筋力やバランス能力も低下している場合は、筋力トレーニングやバランス練習も組み合わせましょう。
なります。体重が変わっていなくても、筋肉が減って脂肪が増えている場合や、筋力が低下している場合があります。体重だけでなく、握力や筋肉量も確認する必要があります。
必ず起こるわけではありません。ただし、運動量の減少や低栄養、体重減少などが重なるとリスクが高まるため、運動・食事・体重の変化を定期的に確認することが大切です。
まとめ
パーキンソン病では、病気そのものだけでなく、活動量の低下や低栄養などが重なることで、サルコペニアやフレイルを併発することがあります。その結果、筋力や歩行能力が低下し、転倒や要介護状態のリスクが高まる可能性があります。
しかし、サルコペニアやフレイルは、早い段階で気づき、適切な運動と栄養管理を続けることで、進行を予防したり改善したりできる可能性があります。筋力トレーニングだけでなく、有酸素運動やバランス練習、十分な食事、日常生活で身体を動かす習慣を組み合わせることが大切です。
「歩きにくくなったから仕方がない」「年齢のせいだから」と諦める必要はありません。大切なのは、パーキンソン病の症状だけに目を向けるのではなく、筋力や栄養状態、生活習慣の変化にも気づき、早めに対策を始めることです。
参考文献・資料
- Asian Working Group for Sarcopenia. Asian Working Group for Sarcopenia 2025 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle. 2025.
- 日本サルコペニア・フレイル学会(JASF)
AWGS2025診断基準・サルコペニア診療ガイドライン - 国立長寿医療研究センター フレイル予防ページ
- 厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
- 厚生労働省 e-ヘルスネット(サルコペニア)
- 日本神経学会 パーキンソン病診療ガイドライン
- Parkinson's Foundation(Exercise)
- Parkinson's Foundation(Diet & Nutrition)
- Vetrano DL, et al. Frailty and Parkinson's disease: A systematic review. Journal of Parkinson's Disease.
- Cerri S, et al. Sarcopenia in Parkinson's Disease: A Systematic Review. Nutrients.
- 難病情報センター パーキンソン病(指定難病6)
- Cruz-Jentoft AJ, et al. Sarcopenia: revised European consensus on definition and diagnosis (EWGSOP2). Age and Ageing. 2019.
- World Health Organization. Integrated Care for Older People (ICOPE): Guidance for person-centred assessment and pathways in primary care.






